[ロンドン 20日 ロイター] - 携帯電話や他のワイヤレス機器の使用が子どもの脳の発達に影響を及ぼす可能性を調査する世界最大規模の研究が、英国で開始されることとなった。
同研究では、個人的に携帯電話を持ち始める青年期にかけて発達する記憶力や注意力といった認知機能に焦点が当てられるという。
これまでの研究では携帯電話の電波が健康に影響を及ぼすことを示す有力な証拠はないものの、そのほとんどが大人や脳のがんのリスクを対象としてきた。
このことから、科学者らは、子どもの神経系が発達過程にあることや、生涯を通じて携帯電話に触れる時間が大人よりも長いことなどを要因に、発育段階にある子どもの脳が大人の脳よりも影響を受けやすい可能性があるとみている。
研究を共同で率いるインペリアル・カレッジ・ロンドンの環境・健康センターのディレクター、ポール・エリオット氏は「これまでに入手可能な科学的証拠は安心できるもので、大人による短期的な(10年未満の)使用では携帯電話の電波と脳のがんに関連性は示されていない」とコメント。
一方、「長期的な(携帯電話の)多用や、子どもによる使用に関するデータは限られており、不確かだ」と指摘した。
研究では、11─12歳の子どもを約2500人募集し、2年間にわたって認知機能の発達を観察しつつ、携帯電話やスマートフォン、他のワイヤレス機器の使用頻度や目的、使用時間に関するデータを収集していくという。
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