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コラム

コラム:米民主党がトランプ氏に協力すべき「5つの政策」

[13日 ロイター] - 米共和党のドナルド・トランプ氏が大統領選挙で予想外の勝利を収めた今、ライバル民主党の議員たちは、あらゆる局面で次期政権に協力すべきか、それとも反対すべきかという岐路に立たされている。

 12月13日、米共和党のドナルド・トランプ氏が大統領選挙で予想外の勝利を収めた今、ライバル民主党の議員たちは、あらゆる局面で次期政権に協力すべきか、それとも反対すべきかという岐路に立たされている。写真は15日、ペンシルバニアでのイベントに到着したトランプ氏(2016年 ロイター/Lucas Jackson)

ラテン系、ムスリムなどマイノリティ層に対する攻撃を含め、トランプ氏が行った選挙運動の傾向から考えれば、多くの民主党議員が自党の方針に固執すべきだと感じているのは無理もないことだ。

だが実のところ、トランプ氏の選挙公約の多くは、民主党の長年の優先課題を代弁するものである。こうした主張の重なりを考えれば、少なくとも、以下に述べるようなテーマに関してはトランプ氏への協力を模索することが、民主党にとって最善の選択だろう。

●インフラ整備

米国土木学会が2020年までに3兆6000億ドルを要すると予想する、老朽化した国内インフラの再建は、民主党が抱く長年の優先課題の1つを前進させる絶好のチャンスだ。

共和党は以前、上院において民主党が提出した本格的なインフラ整備法案を否決し、オバマ大統領と民主党議員らを苛立たせた。

対照的に、トランプ氏は選挙期間中、インフラ整備を優先課題に掲げ、5000億ドルの追加予算を要求。民主党候補ヒラリー・クリントン氏のインフラ整備計画は大胆さが足りないと批判するほどだった。

トランプ氏が主張するインフラ関連予算に対しては保守派が露骨に抵抗しているため、次期大統領がインフラ整備法案を成立させるためには、ほぼ確実に民主党の協力が必要となる。

とはいえ、トランプ氏がどんなインフラ整備計画を提案しようと、民主党は賛同するべき、ということではない。

特に計画の資金調達面では、最も切迫したインフラ問題の解決のためには直接公共投資が必要だという点で、ほとんどの専門家が同意しているが、そうした直接公共投資を伴わずに民間投資家を対象とする減税措置を与えるような計画であれば、賛成するには及ばない。

だが、恐らく、政府による直接支出を民間投資で補うような形での妥協案に向けて、民主党がトランプ氏と協議することは可能だ。そうなれば民主党は、議会におけるインフラ整備法案の成立を求めるトランプ氏に協力すべきである。

●勤労所得控除(EITC)

勤労所得控除は税金の還付により低所得勤労者の所得を増やすものであり、理想的な貧困対策手段であるという研究結果が出ている。

民主党は以前からこの制度の拡大を求めており、保守系・リベラル系双方のシンクタンクがこれに賛同している。何より重要なのは、トランプ氏もこれに賛成していることだ。

実はトランプ氏は、新たに扶養家族養育貯蓄口座(DCSA)の創設により勤労所得控除を補うことさえ求めている。DCSAは、家計が子どもの養育費用や特別課外授業の費用、あるいは高齢の家族のための在宅介護費用を賄うための非課税口座を作ることを認めるものだ。

トランプ氏の計画では、開設されたDCSAに対する部分的な政府補助金の支給まで提案している。401K制度において政府や多くの組織が従業員に提供している給付金に似た措置だ。民主党が低中所得層の労働者に直接的支援を提供したいのであれば、勤労所得控除及びDCSAに関する提案の実現にトランプ氏がどれほど本気かを試すため、トランプ氏の法案を支持するべきだ。

●「成功報酬」による節税の阻止

キャリード・インタレスト(成功報酬)とは、税制上の抜け穴の1つで、一般的に米国の最富裕層であるヘッジファンドやプライベートエクイティファンドのパートナーが、自らの利益を通常の所得ではなくキャピタルゲインとして扱うことを認めるものだ。

つまりファンドマネジャーたちは、最も給料の高い給与所得者に適用される税率39.6%ではなく、最高20%の税率を課されているだけなのだ。ウォーレン・バフェット氏やビル・グロス氏などの富裕な投資家でさえ、成功報酬方式による税制の抜け穴を非難している。

敵意むき出しの選挙戦を展開したトランプ氏とクリントン氏だが、成功報酬については通常所得と同様に課税すべきという点で一致していた。

民主党は、この抜け穴を塞ぐことを公約したことをトランプ氏に思い出させ、そのためのイニシアチブに協力すべきである。

●不干渉主義的な外交政策

トランプ氏は選挙期間中、米国が「さまざまな人々を打倒するために」4兆ドルを費やしていることを嘆き、それだけの資金があるならばインフラ整備に投じた方がよかったと主張した。

当選以来、トランプ氏はこうした見解をさらに強調し、「イスラム国」などの過激派組織との対決に注力しつつ、不干渉主義の外交政策を推進すると約束している。

バーニー・サンダース上院議員やトゥルシー・ガバード下院議員などの民主党議員は、米国の干渉主義を縮小したいというトランプ氏と共通の願いを持っている。

オバマ大統領ですら、体制変革(レジーム・チェンジ)に対する忌避を徐々に強めており、シリアにおける飛行禁止空域の設定を求める声に抵抗している。トランプ氏がより干渉主義的アプローチを求める共和党タカ派からの圧力にさらされるのは確実なため、同様に体制変革に懐疑的な民主党議員は、こうした圧力に抵抗する同氏を支援すべきだ。

<「阻止すべき」は何か>

以上の政策すべてについて民主党議員とトランプ氏が合意できるという保障はまったくないが、少なくとも、トランプ氏と協力する機会を探るとしても、民主党としては何も失うものはない。

政策的な視点からすれば、トランプ氏に打撃を与えることだけを目指して、民主党の目標を実現するチャンスを失うのは、まさに、民主党が大切だと主張する勤労者階級や中流階級の有権者を傷つけるだけだ。

これらの分野においてトランプ氏に協力することは、政治的にも理にかなっている。上記のような考え方に反対する共和党議員とトランプ氏の亀裂を拡大することになるからだ。

ただ、そうは言っても、民主党は多くの分野でトランプ氏に抵抗すべきである。

まず何よりも、選挙期間中に行っていた女性やマイノリティに対する攻撃が継続される場合、特にムスリム登録制度を導入しようと試みるならば、民主党はトランプ氏を非難しなければならない。また、白人ナショナリスト、いわゆる「オルタナ右翼」に含まれる最も悪質な支持者をトランプ氏が非難するよう求めるべきである。

政策面においては、民主党は、気候変動や地球温暖化対策に関する米国の公約を撤回しようというトランプ氏の試みと対決しなければならない。昨年のパリ協定から脱退するとの公約実現を、同氏が決断した場合はなおさらだ。

また、トランプ氏が、オバマ大統領による医療保険制度改革「オバマケア」を廃止しようとした場合には、特に廃止はするが代替の制度は用意しないという計画を推進するならば、トランプ氏を阻止するよう努めなければならない。

そのためには、何百万人もの米国民が医療保険なしの状態に置かれてしまうことを指摘し、新大統領への反対に加わるよう説得可能な共和党上院議員に的を絞るべきだ。

メディケア民営化によって同制度を骨抜きにしてしまうポール・ライアン下院議長の計画にトランプ氏が賛同するようであれば、民主党はやはり反撃すべきだ。

最後に、民主党は市民権獲得のための手段を擁護し、何百万人もの移民を国外退去させようという過激なトランプ氏のイニシアチブには抵抗しなければならない。

確かに、民主党にはトランプ氏と戦うべき分野がたくさんある。しかし、だからといって、同党自身の目標達成につながる場合には、トランプ氏への協力が排除されるべきではない。

*筆者は米国際開発庁(USAID)の元プロジェクトオフィサーで、旧ソ連の経済改革プロジェクトに従事した経歴を持つ。

*本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。(翻訳:エァクレーレン)

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