[メキシコ市 23日 ロイター] - メキシコ政府当局者らは、トランプ米大統領が掲げる北米自由貿易協定(NAFTA)の再交渉について、すぐに開始できる状況にはないとの確信を強めている。再交渉が始まり米国がメキシコからの輸入に関税を課した場合は、地域を特定して報復措置を講じる可能性も示している。
米国が再交渉を開始するには議会への通知が必要で、通知の90日後にやっと交渉を始めることができる。一方、通商代表部(USTR)代表や農務長官など閣僚の指名承認が遅れている。
メキシコのグアハルド経済相は23日に行われたイベントで「ワシントンの閣僚が方針を明示しない限り、現状ではNAFTAが貿易を規定しており、われわれは急いで変更しようとは考えていない」と述べた。
メキシコ政府当局者の一部や財界では、米議会や最高裁判所、一部の州知事がトランプ氏への対抗勢力になっているとの見方があり、市場でもそれを反映してメキシコの通貨ペソがここ数日で急上昇している。
経済団体の企業家調整評議会(CCE)の幹部はロイターに対し、そのような対抗勢力によってトランプ氏が方針の変更を余儀なくされる可能性があると指摘。
現地紙2紙によると、メキシコのビデガライ外相は22日に議員との非公開会合で、米国がメキシコからの輸入品に関税を課すならば、メキシコは「米国が打撃を受けやすい部分を攻撃する」と発言したという。
アイオワ、テキサス、ウィスコンシンなどの州を例に挙げて、メキシコへの輸出への依存度が最も高い州や地域に関税を課すと警告した。
メキシコは2009年に、米国がメキシコからのトラックの入国を禁止したことに対抗し、90の米国製品を対象に地域限定で関税を導入しており、外相はこの戦略に言及。その後、入国禁止は解かれた。
外務省は報道についてのコメント要請に応じなかった。
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