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焦点:米韓貿易協定の見直し、米赤字の改善につながるか

[ワシントン 28日 ロイター] - トランプ米大統領は27日のロイターとのインタビューで、発効から5年を迎える韓国との自由貿易協定(FTA)について、再交渉するか停止すると述べた。再交渉が行われれば米国製自動車の韓国市場へのアクセスが改善し、為替介入に対する締め付けは厳しくなりそうだが、米国の対韓貿易赤字が縮小するかどうかは不透明だ。

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米韓FTA(KORUS)の導入で米国の対韓輸出は年100億ドル増えると予想されていたが、実際には世界的な貿易の落ち込みなどにより2016年末までに30億ドル減少した。半面、韓国の対米貿易黒字は280億ドルへと膨らんだ。

アメリカン・エンタープライズ研究所のアジア貿易の専門家、デレク・シザーズ氏は「KORUSに盛り込まれた基準は適切で、問題は韓国経済が非常に弱いことだ」と指摘。「韓国経済の成長ペースはそれほど速くなく、たとえ再交渉しても米国の対韓輸出が急増することはないだろう」と述べた。

一方、米経済は堅調で、韓国製の自動車や電気製品など輸入財に対する消費者の需要を下支えしている。

KORUSの交渉担当者など貿易専門家は、トランプ政権は韓国との再交渉にあたり、米国製自動車に対する非関税障壁を狙い撃ちする公算が大きいとみている。これは従来の協定で、米国側の手にした恩恵が期待を大幅に下回った分野だ。

韓国の自動車市場は世界でトップ10に入るが、米国の昨年の韓国向け自動車輸出はわずか6万台程度にとどまった。これに対して韓国の対米自動車輸出は100万台近くに上る。

米下院歳入委員会のサンダー・レビン議員(民主党)は「韓国市場は基本的に閉鎖されたままだ。開放させる策が必要だ」と述べた。

ジョージ・W・ブッシュおよびオバマ両政権で米通商代表部(USTR)次席代表代行を務めたウェンディ―・カトラー氏は、トランプ政権が最近、北米自由貿易協定(NAFTA)再交渉のために議会に送った書簡がKORUS再交渉にとって目安になるとした。

NAFTA再交渉に関する書簡は、輸出における税制の公平な取り扱いや公共調達における米国製品の優先的な扱い、原産地規則の厳格化などが盛り込まれている。

為替操作を阻止し、制裁関税の導入を可能とする条項については、以前から労働組合や民主党が貿易協定を結ぶ際の目標に掲げており、協議の俎上に乗りそうだ。

米財務省は対米貿易黒字額が大きく、経常収支黒字の対国内総生産(GDP)比が7%に達しているとして、韓国を為替監視リストに掲載し続けている。また韓国政府の為替市場への介入は透明性を欠いていると批判している。

ピーターソン国際経済研究所のシニアフェロ―、ジェフリー・ショット氏は「トランプ政権が為替操作に対する新たな規則について先行となる事例を作ろうと考えるなら、KORUSの再交渉が絶好の機会になるだろう」と述べた。

(David Lawder記者)

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