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景気「拡大」地域が過去最多、人手不足も進行=日銀

 7月10日、日銀が公表した地域経済報告(さくらリポート)では、全9地域のうち5地域が前回の4月調査から景気判断を引き上げ、「拡大」との評価が6地域に増加した。6地域以上が「拡大」となるのは初めて。写真は都内で昨年6月撮影(2017年 ロイター/Yuya Shino)

[東京 10日 ロイター] - 日銀が10日公表した地域経済報告(さくらリポート)では、全9地域のうち5地域が前回の4月調査から景気判断を引き上げ、「拡大」との評価が6地域に増加した。6地域以上が「拡大」となるのは初めて。

各支店からは景気の循環が「強まっている」との報告が聞かれると同時に、地域の人手不足も進行している。

景気拡大の流れが地域経済にも波及している。これまでの地域の景気判断は、北陸と東海が「回復」よりも強い「拡大」と表現していたが、新たに関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄の4地域が「拡大」に引き上げた。北海道は「緩やかに回復している」から「回復している」に上方修正した。

海外経済の持ち直しに伴って輸出・生産が好調に推移し、労働需給が引き締まり続ける中で、個人消費も底堅さを増しているとの見方だ。各支店からは、景気全体として「所得から支出への前向きな循環が強まっている」との見解が示されているという。

このうち生産は、北海道、北陸、関東甲信越、近畿、中国の5地域が判断を上方修正。各地の企業からは、海外向けの電子部品・デバイスや生産用機械を中心に増加しているといった声が聞かれている。

個人消費も、関東甲信越、近畿、中国、九州・沖縄の4地域が引き上げ。力強い増加ではないものの、企業からは、自動車販売が好調との指摘のほかに「白物家電やテレビの買い替え需要」(大阪)や、株価上昇による「時計や絵画、ジュエリーなどの販売が堅調」(甲府)であることなどが挙げられている。

人手不足も深刻だ。雇用情勢の判断を引き上げたのは九州・沖縄だけだったが、労働需給の引き締まり傾向が続く中で、「足元の人手不足感のレベルは、前回調査に比べて強まっている」(調査統計局幹部)という。

企業は「レジ打ちの募集時給を、地方では破格の1000円まで引き上げても担い手を確保できない」(函館)など、人材確保に賃上げで対応しているが、「顧客離れを懸念して販売価格への転嫁は行っていない」(札幌)、「競争激化や消費者の低価格志向が根強いことから、販売価格には十分に転嫁できていない」(高知)などと価格転嫁に慎重な声も少なくない。

「生産ラインの自動化投資を決定」(青森)、「橋梁(きょうりょう)部分等の計測のためにドローンを導入」(金沢)、「セルフレジ導入や電子マネーの利用促進」など省力化投資にも余念がない状況だ。

伊藤純夫

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