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コラム

コラム:消費財メーカーのプレミアム化戦略、コロナ禍で限界に

[ロンドン 23日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 巨大消費財メーカーが進めてきた「プレミアミゼーション(プレミアム化)」路線が限界に達したようだ。ビールから化粧品、液体洗剤に至るまで、日常の消費財を扱う大手メーカーはここ数年、日用品の高級版を導入して高い価格を課すことで、なんとか収益の成長を続けてきた。

12月23日、巨大消費財メーカーが進めてきた「プレミアミゼーション(プレミアム化)」路線が限界に達したようだ。写真は2019年3月、ロサンゼルスのスーパーで撮影(2020年 ロイター/Lucy Nicholson)

こうした戦略は機能していた。しかし、そうしたユニリーバやハイネケンといった企業も、コロナ禍による景気後退で人々の所得が下がることに対応し、価格競争と、販売数量拡大に的を絞る戦略に頼らざるを得なくなる。

消費財業界にとっては、平凡な商品を魅力的に見せて高く売るためのマーケティングとデザインがすべてだ。例えば、アンハイザー・ブッシュ・インベブやハイネケンやカールスバーグのビールはいずれも2019年、1リットル当たりの平均価格が約3%上昇し、これが増収の主な原動力となった。酒類メーカーの英ディアジオもプレミアム商品に注力した。18年には19種類の大衆向け蒸留酒ブランドを売却。一方で、俳優のジョージ・クルーニー氏から高級テキーラブランドのカーサミーゴスを買収していた。

酒に限った話ではない。英食品・日用品大手ユニリーバは高級志向の洗剤を新たに導入した。同社は洗剤のプレミアミゼーションが成長をけん引したと認めている。19年には、1本が実に20ポンド(約2800円)もする衣類用液体洗剤のブランド「ザ・ランドレス」も取得していた。

しかしコロナ禍後の所得減少は、この戦略に影を落とすだろう。国際通貨基金(IMF)の推計では、世界経済の今年の成長率はマイナス4.4%に落ち込む。世界銀行は、「極度の貧困」人口が今年、過去20年余りで初めて増加すると予想している。

ユニリーバの業績には既に影響が出始めている。今年第3・四半期の実質的な増収率への価格上昇の寄与度は10%強と、2019年の約33%から下がった。

それでもユニリーバは、コロナ禍で日用品の買いだめが起こったことと、同社が低価格で大容量の商品へと軸足を移したことで、増収率は4.4%と好調を維持した。ただ、粗利ざやは圧迫されていくだろう。同業の米プロクター&ギャンブルも、7―9月期にプレミアムブランドの増収寄与度が衰えている。

豪華な旅行に出かける選択肢が断たれた今、生活に喜びをもたらしてくれる高価なスキンクリームなど、手に届く範囲の高級商品は持ちこたえるだろう。いわゆる「口紅効果」と呼ばれる、経済危機の際のプチ贅沢品に対する消費喚起効果だ。もっともマスクの着用で口紅そのものの消費は減るかもしれないが。

ただ、そうした一部商品を除けば、大手メーカーはスーパーマーケットが開発した自社ブランドとの競争が激しくなる。来年、日用品や食品にお化粧を施して売る戦略は苦戦することになりそうだ。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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