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コラム

コラム:資金温存の米大手銀、融資には過度に慎重

[ニューヨーク 15日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米国の大手銀行は資金を潤沢に抱え、盛んにトレーディングを行い、顧客企業による大量の資金調達を手助けしている。従業員の給与は保たれており、株主は近く大規模な自社株買いの恩恵を享受するだろう。だが何かが欠けている。銀行なのに貸し出しを行っていないのだ。

 1月15日、 米国の大手銀行は資金を潤沢に抱え、盛んにトレーディングを行い、顧客企業による大量の資金調達を手助けしている。ニューヨークで2020年3月撮影(2021年 ロイター/Jeenah Moon)

JPモルガンが好例だ。同社のジェイミー・ダイモン最高経営責任者(CEO)は15日、2020年決算で収入と利益が過去最高を更新し、トレーディング収入は前年比34%増えたと説明した。顧客による2兆ドル余りの資金調達も支援した。

資金もうなるほどある。JPモルガンの個人預金は3分の1ほど膨らんで約1兆ドルに達し、自己資本は規制当局の最低基準を大きく上回っている。ダイモン氏はよく「要塞のようなバランスシート」に言及するが、この言葉が今ほどぴったり当てはまる状態はない。

それでもJPモルガンの融資総額は、9850億ドルから増えなかった。消費者と中小企業に対する貸し出しは差し引きで192億ドル増えたが、これはすべて、中小企業向け支援策「給与保護プログラム(PPP)」を通じた融資で占められている。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた企業を支援するPPP融資は、政府によって実質的に保証されており、自己資本比率を低下させない。消費者以外への貸し出しは390億ドル増えたが、そのうち半分超はウエルスマネジメント部門の顧客向けだった。

JPモルガンはこれまでに直近の四半期決算を発表した中で最大手行だが、企業向けの貸し出しを控えているのは同行だけではない。シティグループの中小企業と消費者向けの融資はほとんど増えていない。ウェルズ・ファーゴは昨年、中小企業向け融資を約80億ドル増やしたが、同行もPPP融資制度によって約105億ドルを調達したことを明らかにしている。

銀行はおそらく前回の金融危機から多くを学び過ぎたのだろう。公的資金で救済され厳しい監督下に置かれた銀行にとって、返済できないかもしれない借り手に資金を貸し出す理由はほとんどない。一方で多くの企業経営者は実際、銀行が提示する条件では借り入れたくないと考えている。米連邦準備理事会(FRB)の調査では、コロナ禍の前でさえ、過去5年間に資金を調達するため銀行を利用した中小企業は半分にも満たなかった。銀行に融資を申し込んだ企業のうち、申請した通りに融資を受けられた企業は約半分だった。

バイデン次期米大統領とイエレン次期米財務長官にとって、こうした状況は問題であるが、チャンスでもある。銀行の経営は順調だが、経済は好調ではない。銀行が経済を支援するには、どこか身を削る必要がある。

●背景となるニュース

*JPモルガンが15日発表した2020年第4・四半期決算は、貸倒引当金を繰り戻したのに伴い、普通株の株主に帰属する純利益が前年同期比45%増の118億ドルとなった。1株利益は3.79ドルとなり、リフィニティブによるアナリスト予想の2.67ドルを上回った。収入は前年同期比3%増の302億ドル。

*同社は貸倒引当金を29億ドル繰り戻した。繰り戻し分は、実際の不良債権処理への引当金11億ドルによって一部が相殺された。この結果、昨年末時点の引当金累計額は307億ドルとなり、19年末時点の2倍を超えた。

*ダイモン氏の説明によると、昨年は収入と利益が過去最高で、同社が支援した顧客の資本調達は、債務と資本を合わせて「2兆ドルを超えた」。融資総額は前年比横ばいの9850億ドルだった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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