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グラフで振り返る、トランプ時代の米経済 減税・貿易戦争・コロナ

[ワシントン 19日 ロイター] - 貿易戦争から減税、極めて低い失業率、過去最高の株価、米連邦準備理事会(FRB)議長への派手な攻撃──。トランプ米大統領の下で米経済は大きく揺れ動き、とどのつまりはコロナ禍で崖っぷちに立たされた。

 1月19日、貿易戦争から減税、極めて低い失業率、過去最高の株価、米連邦準備理事会(FRB)議長への派手な攻撃──。トランプ米大統領の下で米経済は大きく揺れ動き、とどのつまりはコロナ禍で崖っぷちに立たされた。写真は税制改革案に署名するトランプ氏。2017年12月、ホワイトハウスで撮影(2021年 ロイター/Jonathan Ernst)

トランプ氏時代の米経済をどう総括すればよいだろうか。

昨年2月時点と現在とで、その答えは異なるだろう。1年前、米経済は着実に成長し、失業率とインフレ率は低く、賃金はようやく上向くという理想的な状態に見えた。トランプ氏はFRBを憎んでいたかもしれないが、最終的には矛先を収め、おかげで10年に及ぶ経済成長は順調に続き、失業率は50年ぶりの低水準まで下がった。

コロナ禍がこれらすべてを一変させ、経済に深い傷を残す可能性が高い。中でも特筆すべき点を見ていこう。

◎人口全体に占める就業者の比率

就業者の統計は失業率よりも幅広い実態を映し出している。失業して職探しをしている人の数だけでなく、コロナ禍で特に懸念が強まっている、労働力から抜け落ちてしまった人々も捕捉しているからだ。人口に占める就業者の比率は以前から着実に改善しており、トランプ政権下でも昨年3月までは上昇を続けていた。

オバマ前政権下で米経済諮問委員会(CEA)を務めたシカゴ大ブース経営大学院の経済学教授、オースタン・グールズビー氏は「ウイルスで経済が停止状態になって、人口に対する就業者の比率は急低下した。その後急速に回復したが、今は頭打ちになっている」と指摘。「暴れて制御が効かないウイルスの性質が、政権のひどい政策ミスおよび無為無策と分かちがたく結びついた」結果だと述べた。

◎フェデラルファンド(FF)金利

FRBの政策金利であるFF金利の推移にも、トランプ政権下の物語が見て取れる。減税と財政支出により経済成長率が予想を上回ると、FF金利の誘導レートは引き上げられた。貿易戦争が世界貿易に影を落とすと引き下げられ、コロナ禍が襲うとゼロ近辺までさらに下がった。

FRBの利上げにトランプ氏は声高に不満を訴えたが、これはもしかすると的を射ていたのかもしれない。最終的にはFRB自体、以前ほどインフレの「過熱」を心配しないという独自の「低金利信仰」にたどり着き、今後長期間にわたって利上げを見送る可能性が高くなったからだ。

カーライル・グループの調査責任者、ジェーソン・トーマス氏は、FRBが昨年8月にこの新戦略を採用したことは「ひそかに過去を振り返って、2017─18年の利上げ規模は間違っていたと考えた」ことを意味すると指摘。「FRBはモデルにとらわれ過ぎた。FRBが現在行っているのは、同じわなに陥らないための努力だ」と述べた。

◎貿易戦争

「反グローバル化」の種は、トランプ氏が16年の大統領選で勝利するずっと前に、まかれていたのかもしれない。英国の欧州連合(EU)離脱を巡る議論に見られた通り、この心理に便乗した政治家はトランプ氏1人ではなかった。

しかしトランプ氏が一方的な関税引き上げを好んで利用し、中国のような「敵対国」だけでなくドイツなど同盟国にも戦いを挑んだことは、世界の貿易秩序を乱した。それにもかかわらずトランプ氏は、米貿易赤字が過去最多の状態で任期を終える。コロナ禍を考えれば不可避だったのかもしれないが。

ただ、中国が知的財産権ルールをきちんと守らないことなど、一部の問題を巡るトランプ氏の懸念は諸外国も共有している。

インド準備銀行前総裁で現在はブース経営大学院教授のラグラム・ラジャン氏は、世界が貿易だけでなく気候変動その他の問題に直面する現在、「二国間ではなく多国間の協議の方が進展しやすい」と言う。「貿易に関してはシンプルにその問題だけで話し合う方法に戻し、別の分野は別の軌道に乗せればよい。中国を窮地に追い詰めるべきではない」と主張する。

◎株式市場

トランプ氏は株価を自身の政権運営の成績表として扱った。最高値を更新すればツイートし、下げればFRBなどを悪者にして責め立てた。

株価については2章構成の物語として考えてみよう。コロナ禍前、トランプ氏が実施した法人税減税と規制緩和の組み合わせは、経済成長の持続と相まって企業利益と株価を押し上げた。

コロナ禍後に株価が高騰している理由はそこまで明確ではないが、FRBが低金利の長期化を約束していることと、コロナ禍に対応した政府の救済策が寄与しているのは明らかだ。

元FRB理事で今はブース経営大学院教授兼副学長のランドール・クロズナー氏は、トランプ氏は政策や政策評価と株価とを結びつけようとした珍しい大統領だと説明。「人々は現在、FRBの政策と今後予定される景気刺激策が株価を持続不可能な水準に押し上げると懸念している。しかし現在の株価は、米経済の進歩、税制変更、規制変更についても物語っている」との見方を示した。

結局のところ、米国経済は史上最も偉大になったのだろうか。

トランプ氏絡みの物事の例に漏れず、この質問の答えも聞く相手によって異なる。短期的な成果と長期的な持続性のどちらを問うかによっても変わってくる。減税やコロナ禍対策のために過去最大に積み上がった政府債務を見るか、公正性、あるいは環境など公共財の質を見るかによる。

少なくとも民主党側から見れば、昨年11月の大統領選でバイデン氏が勝利して以降、経済状況は大きく明るくなった。共和党側から見れば、情勢は悪化した。

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