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コラム

コラム:米ゴールドマン、波乱に見舞われつつも目標へ前進

[ニューヨーク 19日 ロイター Breakingviews] - 米金融大手ゴールドマン・サックスはデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)が昨年1月に強気の経営目標を打ち出したが、その後の1年の軌跡はさながら人の一生のように波乱に満ちたものだった。2020年決算はトレーディング部門が好調だったが、他のほぼ全部門は厳しい逆風に見舞われ、これに同社が長年受け継いできた悪い慣行が加わり、波瀾万丈の内容となっている。

1月19日、 米金融大手ゴールドマン・サックスはデービッド・ソロモン最高経営責任者(CEO)が昨年1月に強気の経営目標を打ち出したが、その後の1年の軌跡はさながら人の一生のように波乱に満ちたものだった。写真はゴールドマン・サックスのロゴ。シドニーで2016年5月撮影(2021年 ロイター/David Gray)

大半のライバル勢が2桁の減益となった昨年、ゴールドマンは普通株主に帰属する純利益が前年比13%増の89億ドルとなった。シティグループ、JPモルガン、ウェルズ・ファーゴの減益決算に続き、バンク・オブ・アメリカは19日、昨年が37%減益だったと発表した。

違いはトレーディング収入にある。ゴールドマンは、総収入の約半分を占めるトレーディング部門が昨年大幅な増収となった。トレーディング収入は、マレーシア政府系ファンド「1MDB」の巨額汚職事件への関与を巡り和解のために支払った罰金額を上回った。罰金の支払いは純利益を34億ドル程度押し下げる要因となっている。

1MDBの汚職事件に関する罰金がなければ、ゴールドマンの自己資本利益率(ROE)は2009年以降で最高の15%となっていた。ソロモン氏の仕事はそれだけではない。新型コロナウイルスの感染拡大が思わぬ追い風となった市場関連部門の増益分30億ドルを差し引くとROEは約3.8%ポイント低下するが、それでも前年実績の10%より高く、想定される資本コストを上回る。

ゴールドマンは間違いなく前進しており、水面下で経営効率が改善しているのだ。同社は既に13億ドルの中期的なコスト削減目標の約半分を達成した。さらにゴールドマンの巨大事業は、個人の預金を集める取り組みが奏功し、資金調達コストが徐々に低下している。個人預金は3分の1ほど増えた。またも新型コロナウイルスの感染拡大がプラスに働き、大手銀行は軒並み預金が膨らんでいる。顧客への不正行為で何年も批判されてきたウェルズ・ファーゴでさえ、個人預金残高が21%増えた。

ソロモン氏は大きな目標を設定するには不運な時期を選んだのかもしれないが、リテール銀行事業に関してはタイミングが絶妙だった。ゴールドマンは預金の大幅な増加から恩恵を受けたが、一方で他の大手行が影響を受けている金利の低下や貸し出しの低迷で足を引っ張られてはいない。金利収入はバンク・オブ・アメリカとJPモルガンでは総収入の約半分を占めるが、ゴールマンでは10分の1にすぎない。ソロモン氏にとっては、良き目標を掲げて始まり、幸運に恵まれて終わった1年だった。

●背景となるニュース

*ゴールドマン・サックスが19日発表した2020年12月通期決算は、普通株主に帰属する純利益が前年比13%増の89億ドルとなった。好調なトレーディング部門が業績をけん引した。

*JPモルガンやシティグループ、ウェルズ・ファーゴなどのライバル勢は昨年、2桁の減益となった。バンク・オブ・アメリカは19日、昨年の普通株主に帰属する純利益が前年比37%減の165億ドルだったと発表した。

*ゴールドマンの自己資本利益率(ROE)は11.1%。1MDBの巨額汚職事件への関与を巡り当局と和解したことに伴う訴訟費用がROEに影響した。その訴訟費用がなければ、ROEは15%となっていた。

*ゴールドマンは昨年第4・四半期、合併・買収(M&A)などに関する投資銀行部門のアドバイザリー収入が前年同期比28%増加。株式と債券の引き受け手数料収入は68%増えた。

*ゴールドマンは、昨年1月に策定した中期計画に盛り込んだ13億ドルのコスト削減の約半分を達成したと明らかにした。ROEは13%以上を目標としていた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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