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コラム

コラム:英CVCの東芝買収提案、会社分割に道開く可能性

[香港 7日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 海外投資ファンド勢による日本企業の大型買収劇の新たな幕が切って落とされた。英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが、東芝に対して現在の市場価値に約30%のプレミアムを乗せた金額となる200億ドル超規模の買収を提案した。

 海外投資ファンド勢による日本企業の大型買収劇の新たな幕が切って落とされた。英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズが、東芝に対して現在の市場価値に約30%のプレミアムを乗せた金額となる200億ドル超規模の買収を提案した。写真は東芝の車谷暢昭・社長兼最高経営責任者(CEO)、都内の本社で2018年4月撮影(2021年 ロイター/Toru Hanai)

企業統治を巡る物言う株主(アクティビスト)との対立で苦労している東芝経営陣は、非公開化できるチャンスを歓迎するかもしれない。だが、彼らが株主により多く報いることができるのは、東芝の非公開化ではなく、分割の方かもしれない。   

東芝の車谷暢昭・社長兼最高経営責任者(CEO)は、CVC日本法人の会長を務めた経歴がある。そのCVCが行おうとしている買収の規模は、投資ファンドが主導して日本企業が絡む案件としては、過去最大級になる可能性がある。

これまでの最大案件に関係していたのも東芝で、同社は2017年、東芝メモリ(現キオクシアホールディングス)の過半数株を米ベインキャピタルが主導する企業連合に210億ドルで売却した。

昨年4月に東芝トップに就任した車谷氏は、さらなる資産の切り離しを検討してみたいかもしれない。東芝の主要部門の価値を算定するのは骨の折れる仕事だ。

原子力や再生可能エネルギー、電力流通システムなどのエネルギー部門は、リフィニティブのアナリスト予想では2021年度売上高が4850億円(44億ドル)と見込まれる。ゼネラル・エレクトリック(GE)や三菱重工業、日立製作所の株価売上高倍率の平均で考えると、この部門の価値は約35億ドルと推計し得る。

ロボットやレーダー、鉄道システムといったインフラシステム部門の価値は、同じ尺度を使えば170億ドルに達する可能性がある。ハードディスクドライブ(HDD)メーカーのシーゲートと競合するデバイス・アンド・ストレージ部門と、リテール・プリンティング部門の価値は合計130億ドル。エスカレーターやエレベーターを製造するビルソリューション部門は、同業のオーティス・ワールドワイド、シンドラー・ホールディングを参考にすれば100億ドルの価値とみなされる。

残りのより小規模な部門から得られる全体の17%の売上高を考慮に入れず、インフラシステム部門の価値を想定レンジの中間点で算定した場合、5つの主要部門の総価値は430億ドルだ。東芝がなお保有するキオクシアホールディングス株40%を含めると、評価額は最大で550億ドルに膨らんでもおかしくない。

複合企業の株価は通常、各部門の合計評価額よりも低い水準で取引される。東芝の場合は、日本政府が導入する外資規制によって、一層割安化している。

もっともCVCの買収提案で他のライバルのファンドや投資家が刺激を受け、群がってくる公算も十分にあり、少なくも買収額は押し上げらる可能性がある。ただ、それだけでなく東芝の「分割・解体」も確実に議題に上ってくるだろう。

●背景となるニュース

*東芝は、英投資ファンドのCVCキャピタル・パートナーズから約200億ドル規模の買収を提案された。ロイターが7日関係者の話として伝えた。提示額は、東芝株の6日終値に約30%のプレミアムを乗せた水準。

*東芝は「初期提案」を受け取ったことを確認した。今後検討を進めることになる。

*東芝は一連の企業統治問題で苦境が続き、3月の臨時株主総会では昨年の定時総会に至る運営の適正性について、外部の専門家による調査を求める株主提案が可決される異例の事態も起きた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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