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コラム

コラム:米巨大IT、潤沢資金が自社株買いに集中する切実な理由

[ワシントン 27日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 米巨大IT企業は、次の買収相手が鏡に映った自分自身だと分かるだろう。グーグルの持ち株会社・アルファベット、アマゾン・ドット・コム、アップル、フェイスブック、マイクロソフト5社の手元資金合計額は6000億ドル前後に上る。売上高も過去最高を更新する中で、投資家は各社にせっかくの稼ぎを有効活用して欲しいと強く望むだろう。ただ、その使い道は、自社株買いの拡大が既定路線になるのではないか。 

 7月27日、米巨大IT企業は、次の買収相手が鏡に映った自分自身だと分かるだろう。写真はニューヨークのグーグルの実店舗に商品を並べるスタッフ。6月17日撮影(2021年 ロイター/Shannon Stapleton)

アルファベットが27日発表した4-6月期の売上高は、オンライン広告収入が急増したため、前年同期比62%増の620億ドルとなった。マイクロソフトの売上高は21%増の460億ドル、アップルも36%増の810億ドルだった。

こうした記録的な売上高によって、各社には現金があふれている。例えば、マイクロソフトの手元資金は約1300億ドルと、写真共有アプリ運営会社・スナップの時価総額を上回る。アップルに至っては、現金と市場性証券の保有額が1940億ドルとさらに多い。

各社は、これまで手元資金を駆使した買収戦略で成長を続けてきた。ところが今、それは危険な選択肢になっている。

米連邦取引委員会(FTC)委員長の座にあるのは、IT業界に批判的なリナ・カーン氏で、さらにバイデン大統領が司法省の反トラスト法(独占禁止法)担当部門責任者にグーグルの「宿敵」であるジョナサン・カンター氏を指名したからだ。

これらの顔ぶれからすれば、特にアップルが常とう手段としてきた新興企業の買収でさえ、厳しい監視の目が向けられるかもしれない。

手元資金の別の投資先として、積極的な人材採用が挙げられる。アルファベットは昨年、2万人を追加雇用する計画を棚上げした。計画を予定通り実行していれば、企業の給与データなどを収集・分析しているペイスケールのデータに基づいてソフトウエアエンジニアの平均給与を12万ドルで計算すると、年間24億ドルの費用が発生したことになる。

とはいえ1360億ドルもの手元資金を抱えるアルファベットにとって、これはほとんど痛手にならない。そして、論理的に考えれば新規採用の取り組みは、より多くの見返りをもたらすだろう。巨大IT企業にとって、既に研究開発の優先順位は高い。

そこで残された資金の振り向け先になるのが、株主還元だ。アップルとマイクロソフトは配当を支払っている。残る3社は自社株買いに専念してきた。

マイクロソフトの場合、2019年に承認した400億ドル規模の自社株買いをほぼ完了。アルファベットは昨年7月、280億ドル相当の自社株買い方針を打ち出し、アップルは自社株買いの規模を500億ドル上積みした。

株価が高値で推移しているため、自社株買いで過剰な対価を支払う恐れはある。アルファベット株の過去1年の上昇率は72%と、S&P総合500種の37%よりずっと大きい。

それでも投資家は自社株買いを好感するし、アップルのクック最高経営責任者(CEO)をはじめとする各社トップが使える資金活用手段は数少ないのが実情だ。

●背景となるニュース

*アルファベットが27日発表した第2・四半期売上高は619億ドルで、前年同期比62%増加。リフィニティブによると、アナリスト予想は約560億ドルだった。

*アップルの第3・四半期(4-6月)売上高は814億ドルと、この期間の過去最高を記録した。アナリスト予想は733億ドル。

*マイクロソフトの第4・四半期(4-6月)売上高は462億ドル、アナリスト予想は442億ドルだった。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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