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コラム

コラム:FRB、量的緩和の早期縮小開始が妥当な理由

[ワシントン 28日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 物価上昇がたとえ一時的だとしても、米連邦準備理事会(FRB)にとって問題である。FRBは28日、コロナ禍から経済が立ち直る過程での物価高騰は長続きしないとの見方を改めて示した。それでも消費者や議会、ホワイトハウスの心中は穏やかではない。そこでFRBが毎月1200億ドル規模で行っている債券買い入れ(量的緩和)を縮小すれば、直接的に消費者物価指数(CPI)上昇圧力に効果を発揮しないまでも、パウエル議長への「援護射撃」にはなる。

 7月28日、物価上昇がたとえ一時的だとしても、米連邦準備理事会(FRB)にとって問題である。米首都ワシントンで2019年3月撮影(2021年 ロイター/Leah Millis)

FRBは28日までの連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利をゼロ付近に据え置くとともに、昨年開始した大規模な債券買い入れの継続を表明。新型コロナウイルスの感染拡大が始まって以来、この債券買い入れによってFRBのバランスシートはほぼ倍増して約8兆2000億ドルに達した。

足元の急速な物価高について、FRBは「一過性の要因」が反映されていると分析。パウエル氏や他のFRB幹部は、6月CPIの前年比上昇率が5.4%と、13年ぶりの伸びを記録したことも懸念していない。そして過去1年半に生じたさまざまな特異な事象を考慮すれば、FRBの見解にはある程度の論理性が存在する。より正常な環境だった2019年6月以降で見れば、CPIの上昇率は3%で、ずっと警戒度は下がる。債券市場が示唆するもっと長期間の予想物価も、ここ数カ月でピーク時からやや下振れした。

ただ消費者の肌感覚はもっと厳しい。今月のミシガン大調査では、向こう1年の予想物価上昇率が4.8%と、08年8月以降で最も高水準になった。特にガソリン価格が過去12カ月で45%も跳ね上がり、ドライバーの懐を直撃している。民主党系の世論調査専門家セリンダ・レーク氏はネットメディアのアクシオスに対して、来年の中間選挙の鍵を握る有権者とされる女性層がとりわけ不安感を抱いていると語った。

FRBがすぐに利上げすることは決してない。だが債券買い入れを縮小する可能性はある。13年には当時のバーナンキ議長が買い入れ縮小を示唆すると市場が動揺したとはいえ、それは短期間の出来事にすぎなかった。結局FRBは買い入れ縮小を続け、17年にはバランスシートの規模を圧縮する作業に着手した。

パウエル氏や他のFRB幹部は、パンデミックの最悪局面は終わったと確信したので、もはや債券買い入れは縮小する以外ほぼ道はない。いくらFRBが独立機関だといっても、政治を完全に無視することもできない。債券買い入れは長期金利を抑制するのが目的で、その縮小は現在の食品やガソリンの価格に影響は及ぼさない。しかし買い入れ縮小を、政治家や有権者がFRBによる物価抑制の取り組みの第一歩だと解釈するのも自由だ。だからFRBが間もなく買い入れ縮小の段階に至れば、それは経済的だけでなく、政治的にも妥当な判断となり得る。

●背景となるニュース

*米連邦準備理事会(FRB)は28日に終わった連邦公開市場委員会(FOMC)で、政策金利の誘導目標を0-0.25%に据え置き、毎月1200億ドルの債券買い入れを継続することを決めた。

(筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています)

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