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焦点:米大幅利上げで高まる景気後退懸念、波乱に身構える市場

[ニューヨーク 16日 ロイター] - 米国経済のソフトランディング(軟着陸)説が揺らいでいる。米連邦準備理事会(FRB)は15日、5月に続き利上げを決定、しかも上げ幅は1994年以来27年ぶりとなる75ベーシスポイント(bp)だった。歴史的な物価高への対応で、来月以降も利上げを継続する方針も示し、アナリストや投資家はリセッション(景気後退)の可能性が高まったとし、市場のさらなる混乱に身構えている。

 米国経済のソフトランディング(軟着陸)説が揺らいでいる。写真は米ドル紙幣。ソウルで2011年2月撮影(2022年 ロイター/Lee Jae-Won)

15日の米株市場は、FRBが過去40年あまりで最も深刻なインフレに全力で立ち向かうという期待を背景に反発したが、インフレ緩和の明確な兆候が現れるまで下げ止まりは期待できないとみられている。

Tロウ・プライスの債券運用担当者スティーブ・バートリーニ氏は「ボラティリティーは高止まりし、わたしを含め市場参加者は総じてリスクを取る意欲を失っている」と述べた。

<急激な引き締め、経済「無傷でいられぬ」>

アナリストは、FRBが利上げを進めることで米経済は「ハードランディング」してリセッションに陥るのか、それとも成長が減速するとともに物価が落ち着く「ソフトランディング」につながるのかと頭を悩ませてきた。

FRBは大幅利上げの一方で米経済見通しを引き下げ、今年の成長率はトレンドを下回る1.7%に鈍化すると予想した。

パウエル議長はFOMC終了後の会見で、次回7月のFOMCで再び75bp利上げする可能性はあるものの、75bpが「一般的な」利上げ幅になるとは予想していないと述べた。

また「失業を招くつもりはない。リセッション(景気後退)を誘発しようとしているわけではない」とし、「労働市場が堅調なうちにインフレ率を2%まで引き下げることが目標だ」と説明した。

パウエル議長は米経済軟着陸に自信を持っているようだ。だが今回の引き締めサイクルが1994年以降で最も急激になりそうで、米経済は無傷で済まないとの見方が広がっている。ウェルズ・ファーゴのアナリストは15日、米景気後退の可能性は50%以上と予想。ドイツ銀行やモルガン・スタンレーなども景気後退のリスクが高まっていると警告している。

景気後退リスクでFRBは近く軌道修正するとの見方もすでに出ている。INGのアナリストは「より積極的、より速い行動は経済的コストを伴う」とし、景気後退リスクの高まりは「2023年夏に利下げの可能性があることを意味する」と指摘した。

<難しいかじ取り>

FRB幹部が数週間前から示唆していたのは、6月と7月に50bp利上げし、9月までに利上げペースを落とすというシナリオだった。ところが先週発表された5月の消費者物価指数(CPI)が市場のピークアウト期待に反してさらに加速。市場の見方が変わった。

FRBは、インフレ抑制への行動に出遅れている、いわゆる「ビハインド・ザ・カーブ」批判を一部投資家から受けている。

エンジェルス投資顧問の最高投資責任者マイケル・ローゼン氏は、「FRBは難しい立場にある。インフレをここまで加速させてしまい、金融政策のかじ取りを誤った」とし、ソフトランディングの可能性は後退していると述べた。

<弱気相場はより長く深刻に>

15日にS&P総合500種指数は1.45%上昇。FRBが高インフレに断固対応することへの信任投票との声も出たが、楽観ムードの持続性に懐疑的な向きもいる。

マクロ経済調査会社、マクロ・インテリジェンス2パートナーズの共同創業者のジュリアン・ブリグデン社長は、FRBのスタンスをリスク資産にとってプラスと見なすべきでないと主張。FRBの経済予測で失業率予想が切り上がり「景気後退の可能性を明確に示唆した」と述べた。

景気後退は、すでに傷ついた株式市場にさらなる打撃となる。ビスポーク・インベストメント・グループのデータによると、景気後退を伴う弱気相場はより長く深刻になる傾向があり、約35%の下落幅が中央値となっている。

ヘッジファンドのライトハウス・インベストメント・パートナーズのショーン・マクグールド社長兼共同最高投資責任者は、年内ないし来年初めにリセッションに陥った場合、株はさらに下落するとみている。

米国債利回りは今年に入って大幅に上昇(価格は下落)してきたが15日は低下した。これまでの売られ方を考えると買い場到来とみる投資家もいるが、先行きについてコンセンサスはできていない。

マクロ・インテリジェンス2パートナーズのブリグデン氏は「極めて慎重な姿勢を崩していない。インフレはまだピークに達しておらず、FRBが利上げ姿勢の強化を迫られる可能性を当社の分析は示唆している」と語った。

(Davide Barbuscia記者)

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