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石油会社、グーグル検索広告を「グリーンウォッシュ」に利用=報告書

[ロサンゼルス 3日 トムソン・ロイター財団] - 検索エンジン最大手のグーグルは、地球温暖化に関する科学的な合意に反する広告で収益を得ることをやめると宣言していた。ところが新たな報告によれば、グーグルは石油会社に対し、気候変動に対する同業界の責任を過小評価させるために有用な「デジタル不動産」、つまり広告枠を販売していることが明らかになった。

11月3日、検索エンジン最大手のグーグルは、地球温暖化に関する科学的な合意に反する広告で収益を得ることをやめると宣言していた。ところが新たな報告によれば、グーグルは石油会社に対し、気候変動に対する同業界の責任を過小評価させるために有用な「デジタル不動産」、つまり広告枠を販売していることが明らかになった。写真はグーグルのロゴ。シンガポールで8月撮影(2022年 ロイター/Edgar Su)

ネット上の虚偽情報・デマを研究する米国の非営利団体(NPO)「反デジタルヘイトセンター(CCDH)」の研究者らは、過去2年間、化石燃料大手がグーグルの米国版サイトに出稿した3万2000件以上の検索広告を分析した。いずれも、気候に関連した6万1000件の検索入力をターゲットとした広告だ。

分析の結果、こうした企業が、「ネットゼロ」や「エコフレンドリー」などを検索した場合にグーグルのトップページに表示される広告枠を購入しており、そのスペースを、気候変動についての事実を歪めたり、化石燃料企業によるこれまでの温室効果ガス排出・汚染の事実を隠すような広告で埋めたりしていたことが判明した。

CCDHの創設者イムラン・アーメド氏は、グーグルは「気候変動否定産業」と共謀していると指摘した。

「情報を見つける最初の手段としてグーグルを使う人は何十億人もいる。検索結果の最上部に何かを表示する権利を購入できれば、人々が世界を見るためのレンズを歪めることができる」と同氏は語った。

これに対し、グーグルで広報を担当するマイケル・アシマン氏は、気候変動に関する虚偽情報に対する同社のスタンスを示した。

アシマン氏はトムソン・ロイター財団に対する声明で、「昨年、私たちは業界の先頭を行くポリシーを新たに制定した。気候変動の存在や原因についての虚偽の主張を促進する広告を明示的に禁止するものだ」と述べた。

「政策論争やグリーン・イニシアティブをめぐる議論に留まらず、一線を超えて気候変動否定を露骨に推進するようなコンテンツを見つけたら、そうした広告は削除する」

グーグルは、そうした広告が何件削除されたかは公表していない。

CCDHによる調査は、主に最大規模の石油・天然ガス企業であるBP、エクソンモービル、シェブロン、シェル、アラムコに注目した。いずれも、世界的なインフレを加速させた化石燃料価格の高騰のおかげで、最近の四半期では巨額の利益を計上している。

CCDHの報告書によれば、過去2年間で、こうした企業による検索広告枠の購入によりグーグルに流れ込んだ収益は2400万ドル近くになるという。

報告書の執筆者らが「グリーンウォッシング」だと判断した広告は、閲覧回数が5800万回以上にも達したものと思われる。

たとえば、温室効果ガスであるメタンに関する情報を検索すると、「ゼロ・ルーティン・フレアリング(フレアガス排出量ゼロ)」の取り組みを誇示するBPの広告が表示される。フレアリングとは、原油採掘の過程で排出される不要な天然ガスを燃やしてしまうという、広く行われている行為だ。

フレアリングにより、大気を汚染し、地球温暖化を促進する二酸化炭素、メタン、煤煙の混合物が放出される。

BBCが2022年に行った調査では、BPをはじめとする石油会社が自社の油田でのフレアリングによるメタンの排出量を過少申告していたことが判明している。

シェルは「ネットゼロ企業」という検索入力をターゲットとする検索広告に18万1000ドルを投じたが、米連邦議会による最近の調査で明るみに出た2020年のシェルの社内文書では、自社従業員に対して、ネットゼロ排出は「世界全体にとっての集団的な野心的目標」であって、「シェル自身にとっての目標やターゲット」ではないという姿勢をとるよう呼びかけていた。

この年シェルは表向きにはネットゼロ目標を発表したが、気候問題に取り組むグループの間では、同社による石油探索の継続に対する批判もある。

また、炭素排出量の点で世界有数の存在であるサウジアラビアの石油会社アラムコは、「業界では最も炭素排出量の少ない会社の1つ」と自称するグーグル広告を出稿した。

CCDHの報告書は、「『ネットゼロ企業』などのキーワードで情報を検索した人に対して、逆に石油大手によるグリーンウォッシング広告が表示されるようなことがあってはならない」と述べている。

グーグル広報のアシマン氏は、研究者らが指摘した広告は、いずれもグーグルのポリシーに違反するものではないと述べた。同社のポリシーは、気候変動否定論者が共通して用いる特定の言明に適用されるものだ。

たとえば、「気候変動はデマ」「地球の気候は温暖化していない」、もしくは「気候変動についての明確な科学的合意は存在していない」といった内容や、「炭素の排出や人類による活動が気候変動や地球温暖化に寄与しているという証拠は存在しない」といった主張が対象になるというのがアシマン氏の説明だ。

「私たちは、主張がなされる文脈を注意深く見ており、虚偽の主張を事実として述べるコンテンツと、そうした主張についての報道や議論といったコンテンツを区別している」

CCDHの調査に対し、シェルの広報担当者は、同社は2050年までにネットゼロ排出企業になることを目標としていると述べた。

シェルの広報担当者はトムソン・ロイター財団への声明で、「低炭素エネルギーに対する当社の投資はすでに何十億ドルにも達している。当社が販売するエネルギー・ミックスの変化を促進するためには、こうした新事業を急成長させる必要がある」としている。

「つまり、広告やソーシャルメディアを通じて、当社が現在提供している、あるいは開発中の低炭素ソリューションについて顧客に知ってもらえば、顧客も、自分にとって適切なタイミングでそうしたソリューションに乗り換えられる」

CCDHの報告書で名指しされている他の石油会社は、コメントを出さなかった。

<広告か、検索結果か>

独立系のデータ分析サイト「スタティスタ」によれば、グーグルはオンライン検索の分野で支配的地位にあり、その市場シェアは世界全体で80%を超える。

グーグルの広告製品を利用すれば、広告出稿企業はグーグルに料金を支払うことにより、特定のキーワードの検索結果の上位に広告を掲載できる。

スポンサー付きの検索結果には「広告」のマークが表示されるとはいえ、最近のグーグルはその区別を曖昧にしており、有料広告と本来の検索結果とを紛らわしくしているという批判がある。

「ユーザーが広告コンテンツを見分けられないことも多い」と語るのは、ネイティブ広告の研究者であり、ボストン大学コミュニケーション研究センターを率いるミシェル・アメジーン教授。

アメジーン教授によれば、大半の人はグーグルについて、自分自身の検索が可能な信頼に足る場所だと考えているが、検索結果の2ページ目以降を見る人はほとんどいないし、その場合は、この種の広告の効果は特に大きくなるという。

英国のメディア規制当局であるオフコムが2022年3月に発表した研究によれば、特に若者は、グーグルの検索結果が広告の可能性があるということを理解しておらず、有料広告と本来の検索結果を区別できない人が60%以上にのぼる。

環境保護団体「フレンズ・オブ・ジ・アース(地球の友)」で気候デマに関する連絡会の共同議長を務めるマイケル・クー氏によれば、企業は「気候変動に関する良質な情報を探している一般人を、デマのあふれる異世界へと向かわせている」という。

<「信用」を金で売る>

アーメド氏は、CCDHの研究によって、グーグルが2021年のCOP26(国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議)の前に表明した約束を守っていないことが示されている、と言う。すなわち、グーグルは今後、「気候変動の存在と原因に関して十分に確立された科学的合意に矛盾するコンテンツ」によって収益を得ることはない、という約束だ。

それ以来、グーグルが依然としてそうしたコンテンツを掲載するウェブページの広告を表示していることが、複数の研究により示されている。

「虚偽情報に反対する気候行動連合」は先月、グーグルは依然として、気候変動否定を主張するサイトのディスプレイ広告の主要な掲載者になっているという報告書を発表した。

今回のCCDHの報告書は、グーグルに対し、気候変動についての情報を「歪曲する」広告の掲載を停止し、研究者がより容易にグーグルのサイトをチェックできるよう、広告のライブラリを公開することを要望した。

アーメド氏は、「グーグルの仕事は、検索入力に対して、良質で信頼性の高い情報を提供することであるべきだ」と語る。「しかし今のグーグルは、金さえ払ってくれれば相手が誰であろうと、その信用を売り渡してしまっている」

(翻訳:エァクレーレン)

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