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ノーベル医学生理学賞の3人、アルツハイマー病解明に新たな扉

[ロンドン 6日 ロイター] - 今年のノーベル医学生理学賞に6日、脳の中に位置情報機能(GPS)と似た働きをする神経細胞が存在することを発見したイギリスとノルウェーで活動する研究者3人が選ばれた。認知症の解明に向けて新たな扉が開かれた。

 10月6日、今年のノーベル医学生理学賞には、脳の中に位置情報機能(GPS)と似た働きをする神経細胞が存在することを発見したイギリスとノルウェーで活動する研究者3人が選ばれた。ストックホルムで撮影。提供写真(2014年 ロイター/TT News Agency)

これらの空間を認識する細胞は、アルツハイマー病やその他の認知症について患者がなぜ道に迷うのかを初めて解明し、その細胞の退化について理解することで疾病過程が明らかになる可能性がある。

こう考えた英ロンドン大学のジョン・オキーフ教授と、ノルウェー科学技術大学のマイブリット・モーセル教授、エドバルド・モーセル教授(2人は夫妻)の3人が今年のノーベル医学生理学賞を受賞した。

オキーフ氏は記者団に対し「われわれは現在、よりハイテクな研究を行うための準備を整えており、そこで時間とともに進行する病気の推移を把握できると期待している。これによっていつどこで病気が発生し、どうしたら分子や細胞レベルで病気を攻撃できるかについての最初の手掛かりが得られる」と述べた。賞金800万スウェーデンクローネ(110万ドル)は3人で分ける。

国際アルツハイマー病協会によると、認知症患者の数はすでに世界で4400万人に達しており、2050年までに3倍の1億3500万人に増加する勢いだという。

しかし科学者らはアルツハイマー病の基礎生物学レベルでの解明に苦慮しており、新薬開発は相次ぐ失敗に見舞われている。

受賞者3人の研究は直ちにブレークスルーにつながるわけではないが、脳の2つの特定部位での細胞の機能を解明することは、アルツハイマー症の進行過程を紐解く上できわめて重要だとみられている。

3人の脳のナビゲーションシステムについての研究は40年以上前から行われているが、最近、科学者らは脳の回路を研究する新しい強力なツールを開発している。オキーフ氏は、これらを自身が所長を務めるロンドン大学のセインズベリー・ウェルカムセンターの新しい研究所で利用する計画だ。

来年150人超の科学者の最初のグループが同研究所で研究を開始する。脳の複雑な配線を解明するために、研究には最新鋭のレーザー、分子生物学と計算論的モデルが使用される。

主要8カ国(G8)は昨年12月、25年までに認知症の治療法ないし効果的な治療薬を発見するという目標を掲げた。

アルツハイマー病の最初の治療薬が承認されてから10年が経つが、現在の医薬品は病状の一部を緩和する効果しかなく、病気の進行を遅らせる治療薬は今なお開発されていない。

オキーフ氏は「われわれは皆、脳内に時限爆弾があることが分かっている。その解明についての最初の手掛かりをつかみ始めたが、だからといって近い将来すぐに治療薬ができるということではない」と述べた。

(Ben Hirschler記者)

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