September 17, 2013 / 10:51 PM / in 6 years

再送-〔アングル〕世界規模で注目度上がる国産ウイスキー、欧米プラス新興国で輸出加速へ

(以下の記事は17日午後7時44分に配信しました)

[東京 17日 ロイター] - 国産ウイスキーに対する注目度が、世界市場規模で上昇している。日本の豊かな自然とブレンダ―の繊細な味覚が作り出す独自の味わいによって、最近では国際的なコンテストで毎年のように主要な賞を獲得。ブランド力も着実に上がってきた。2大メーカーのサントリー酒類(東京都港区)とニッカウイスキー(東京都港区)は、これまでの主要な輸出先だった欧州・米国に加え、有望な市場になりつつある新興国も有力なターゲットに、海外への売り込みに一段と力を入れる。

  <45年ぶりに山崎蒸溜所の生産増強>

国産ウイスキー発祥の地、サントリー酒類の山崎蒸溜所(大阪府島本町)―――。90周年を迎えた今年、45年ぶりに新蒸溜釜2対・4基を増設し、10月に稼働を開始する。自宅の床や机をウイスキーの樽材で揃えるほど、ウイスキー作り一筋で過ごしてきた藤井敬久工場長は「増産と言う意味合いもあるが、多彩な原酒を持つことに大きな意味がある」と話す。

山崎蒸溜所は、世界でも珍しい複合型蒸溜所。シングル・モルトの本場、英国では各蒸溜所が原酒を交換する慣習が有名だが、日本ではそうした「取引慣行」はない。

サントリーでは、自社で多様な原酒を保有し、多様な商品ラインを形成していると同社の矢ケ崎哲也ウイスキー部課長は説明する。今回、新たに導入した初蒸溜釜は、創業当時の釜に近い型を復活させ、多様な商品を生産する態勢を一段と強化した。

  <国産ウイスキーの輸出は2ケタ増で伸長>

1983年のピーク以来、25年の長きにわたり縮小傾向にあったウイスキーの国内需要が復活したのは、2008年から始まったハイボールブーム。国内需要の巻き返しと歩調を合わせるかのように、海外でも日本国産ウイスキーの認知が年々高まり、輸出は増加傾向をたどっている。

サントリーの2012年輸出実績は、前年比16%増の14万5000ケース(1ケースは700ミリリットル・12本換算)。輸出先は35カ国にのぼり、13年は同17%増の17万ケース、15年には20万ケースへの拡大を計画している。

「山崎」「白州」「響」に代表される高価格帯ウイスキーは、これまでの欧米に加え、ロシア、インド、ブラジルなどで販売している。

中国・台湾では、日本食レストランを中心に「角ハイボール」の拡販を図っている。「6月末までに15店舗にハイボールのサーバーを導入し、モデル店としている。ハイボールの取扱店舗は1680店舗となっている」(広報)と、急速な拡大が目立っている。

一方、ニッカウイスキーは、2006年に仏のウイスキー商社「メゾン・ド・ウイスキー」と販売契約を結び、輸出を本格化させた。06年に1800ケースだった欧州向け輸出は、12年に3万3500ケースと18倍に拡大。12年12月には米国、13年5月からはオーストラリアへの輸出を開始し、輸出国は30カ国に広がった。欧州以外の国も含めた2013年の輸出は4万5000ケース(前年比30%増)を計画している。

  <世界的な賞で日本ウイスキーが常連に>

2013年7月、イギリスで行われた世界的な酒類コンペティション「インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ」(ISC)において、サントリーの「響21年」は、カテゴリー最高賞である「トロフィー(Trophy)」を受賞した。「豊かな果実香とオーク樽由来の熟成香が感じられ、心地よく続く長い余韻を楽しめる」と、審査員から高評価を得たという。

「ISC」「WWA」(ワールド・ウイスキー・アワード)「IWSC」(インターナショナル・ワイン&スピリッツ・コンペティション)などウイスキーの世界的な大会で、日本のウイスキーは受賞の常連となっている。

その結果、スコッチウイスキー発祥の地である英国のスコットランドでも日本のウイスキーへの評価が上がり、つれて世界的に知名度も向上。国産ウイスキー輸出が右肩上がりで増加している大きな要因の1つとなっている。

  <国産ウイスキー、水と環境が生んだ傑作>

欧米でも高い評価を獲得している国産ウイスキーの強さはどこにあるのか──。サントリー山崎蒸溜所・チーフブレンダ―、福與伸二氏は「きれいな水と四季の変化。そして、ブレンドや瓶に至るまで、細部にこだわった仕事と味わいのバランスだ」と話す。

サントリーでは、発酵槽や蒸溜釜、熟成のための樽に様々な種類を導入し、多種な原酒を作り分けることによって、ウイスキーの可能性を広げている。

寿屋(現サントリー)の鳥井信治郎社長とスコットランドでウイスキー作りを学んだ竹鶴政孝氏の夢が結実した山崎蒸溜所から、日本のウイスキーの歴史は始まった。儲かるかどうかわからないウイスキー作りに鳥井社長は「やってみなはれ」と、号砲を鳴らしたという。1923年の山崎蒸溜所の建設から、今年で90周年を迎える。

竹鶴氏は、後に自ら大日本果汁を創立。これがニッカウイスキーとなり、今に続いている。

12年の世界のウイスキー市場は約3億7500万ケース(前年比3%増)。日本からの輸出が占める割合はまだわずかだが、将来に向けた期待は大きい。

藤井工場長は「10年後は100周年。世界各国で美味しいと言われ、楽しんでもらい、心が豊かになる。そういう風景になることを願っているし、是非実現したい」と話す。

長期熟成が必要なウイスキー。10年後、20年後にようやく、今回導入した新蒸溜釜から生まれた原酒が製品となって世の中に出ていくことになる。

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