January 15, 2014 / 8:23 AM / 7 years ago

再送-〔焦点〕「反原発選挙」のリスクに直面する安倍政権、細川都知事なら円安副作用も

(この記事は15日午後5時21分に配信しました)

[東京 15日 ロイター] - 東京都知事選に細川護煕・元首相が立候補したことで、安倍晋三政権の動揺につながるリスクが政権関係者や金融市場関係者の間で浮上してきた。都知事選が原発政策を対立軸にした選挙となれば、安倍政権の掲げる原発再稼動政策が変更に追い込まれる可能性が指摘されている。

また、アベノミクスの背骨とも言える円安進行による経済活性化のルートも、エネルギー輸入額増大から貿易赤字の拡大を招き、想定外の円安加速や長期金利上昇など副作用が表面化する展開も予想される。

さらに成長戦略との関連で期待されている東京都の国家戦略特区構想の推進が停滞する不安も市場関係者の間で膨らんでいる。東京オリンピックを経済成長の推進力にしようとしていた矢先、安倍政権にとって都知事選が大きなリスクになりかねない状況に、市場関係者の目が集まりつつある。

  <安倍政権動揺につながる恐れ> 細川氏の立候補に関連し、安倍政権に近い関係者からは「原発問題が国家イシューになるかもしれない」と不安の声が漏れる。脱原発がかつての「郵政選挙」のように、国民投票の様相を呈すれば、原発再稼動をクリアしようとしていた安倍政権の政策変更を余儀なくされかねず、「オリンピックを第4の矢に推進力をつけようとしていた足をすくわれかねない」と見ている。

マーケットからも、安倍政権の政策実行力の低下につながるリスクの可能性が指摘されている。

ソシエテジェネラル証券・チーフエコノミストの会田卓司氏は、安倍政権がこの先も必要な政策を推進していくには「2月までの地方選挙(1月19日沖縄名護市長選、2月9日東京都知事選、2月下旬山口県知事選)で自民党を勝利に導き、政策が滞りなく遂行される安心感を堅持する必要がある」と指摘する。

しかし、都知事選でもし、細川氏が勝利すれば「安倍政権への信認は下がる可能性がある」と見ている。   そのケースでは、安倍首相の党内での求心力にも影響が出ると見るのはBNPパリバ証券・チーフエコノミストの河野龍太郎氏だ。「自民党内にも安倍降ろしを願う人がいない訳ではないので、党内からも細川人気を利用して政権を揺さぶる動きが出てくる可能性も否定できない」とし、次の自民党総裁選で勝利しても政権運営が難しくなると予測する。

  こうした状況を回避するためにも、先の安倍政権に近い関係者は、安倍首相はあまり細川氏との対立軸を鮮明にしないほうが得策だと見ている。「細川─小泉都政が野党勢力結集の受け皿にまで発展していった場合、その影響はさらに大きくなる」(河野氏)と市場関係者もみている。

<国家戦略特区への取り組み姿勢に注目>   アベノミクスが今年、力を入れなければならない成長戦略にとっても、細川氏の立候補により不安が生まれている。

JPモルガン証券・チーフエコノミストの菅野雅明氏は「東京は国家戦略特区の有力候補であり、成長戦略の受け皿への期待が高い。猪瀬直樹前知事はかなり前向きに取り組んでいた」と指摘する。

実際、東京都の提案では法人実効税率も都税相当分を全額免除し、20%という低い税率にすることを盛り込んでいる。菅野氏は「細川氏が都知事になった場合に、どの程度推進するのか、わからないだけに不安がある」と見ている。

同様に会田氏も「東京での国家戦略特区の推進が、成長戦略のシンボルとして海外投資家へのアピールになる」とみているが、「細川元首相が提唱する脱原発に都民の支持が集まれば、東京オリンピック成功・国家戦略特区による成長戦略・社会保障の充実(舛添元厚生相)という安倍首相の経済政策の推進が、滞ってしまうリスクとなる」と懸念を示す。

  <高まる日銀への圧力、エネルギー輸入増が足かせのリスクも>

  細川氏勝利により安倍政権への信認が低下した場合、金融市場において外為や株式、金利などに何らかの影響が出ると予想される。市場の変化がアベノミクスの推進力に対し、逆風として作用するパターンも出てきそうだ。

その1つが、日銀の追加緩和と円安加速の問題だ。BOJウォッチャーの中には、消費増税の景気下押し効果を相殺するため、政府が日銀に働きかけ、その結果として追加緩和が決定される展開を予想する声がある。

菅野氏は「細川都知事が誕生すれば、アベノミクスへの信認低下を回避するため、安倍政権が日銀への圧力を強める方向に動くだろう」と見ている。

とはいえ、日銀がさらなる金融緩和に動いても、安倍政権への高い信頼感によって続いてきた円安や株高といった底堅さは、期待できないとみている。「長期投資家は成長戦略への見方にはためらいがあり、短期筋による追加緩和期待に振り回される展開となっているに過ぎない。底の浅いマーケット状況なので、円安期待はいつひっくり返るかわからない」と予想している。

 また、細川氏の脱原発政策は、外的環境次第では金融緩和や円安政策の足かせになりかねない。河野氏は「中期的に原発再稼動が遅れる場合、東電の経営計画に一定の影響を与える可能性は否定できない。そうした場合、エネルギーコストの高止まりにより、円安につながることの多い日銀のバランスシート拡大が制約される可能性がある。長期金利上昇懸念にもつながる」と読む。

 脱原発が都知事選の最大のテーマとしてふさわしいかどうかといった正面からの議論とは別に、思わぬ角度から脱原発が安倍政権の足をすくうリスクもはらんでいる。 (中川泉 編集:田巻一彦)

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