[東京 25日 ロイター] - 米投資ファンド、フォートレス・インベストメントグループ は、日本でのホテル投資について、今後はビジネスホテルの投資に注力する方針を明らかにした。 フォートレス・インベストメント・グループ・ジャパン合同会社の山下明男・日本首席マネージングディレクターがロイターとのインタビューで述べた。
山下氏は日本のホテル・ビジネスに注目する理由として、個人や小規模の企業が経営するホテルの廃業に伴って供給部屋数が減少する一方、建設費の高騰のあおりでホテル建設自体が容易ではなく、需給は当面ひっ迫するとの構造問題を挙げた。
そのうえで宴会場やレストランがある「シティホテル」よりも、宿泊に特化した「ビジネスホテル」に投資妙味があると指摘した。その背景にあるのは、営業利益率の差だ。
山下氏によると、ビジネスホテルの営業利益率は約50パーセント。これに対しシティホテルは約20パーセントにとどまっている。
また、日本ではホテル・ビジネスに追い風が吹いている。政府は訪日外国人旅行者数を2030年までに2013年の3倍の約3000万人に拡大することを目標に掲げ、2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催後も、外国人訪問客数の増加基調を定着させようとしている。その流れに乗って、日本でのホテル需要は大きな伸びが見込まれている。
山下氏は「ここ1年をみても、不動産でここまで賃料が上がっているアセットクラスはない」と指摘。今後も需要拡大が見込める都市の物件に投資を続ける方針を示した。
フォートレスは2013年、東京ディズニーリゾート内にあるシェラトン・グランデ・トーキョーベイ・ホテル(千葉県浦安市)を取得した。金額は非公表だが、複数の関係者によると400億円強で取得したとされる。
今後の投資規模は、この案件より規模は小さいが、利益率の高いビジネスホテルに傾斜する見通しだ。
同社は2009年、日本での不動産投資を本格的に開始。リーマンブラザーズの破たんを機に表面化した金融危機の最中には、主に資金繰りが困難になったディベロッパーなどが売却した不動産に投資した。
最近では、9月26日に羽田空港から車で10分の距離にあるビジネスホテル「マイステイホテルズ羽田」(東京都大田区)を開業。今年11月には「マイステイズホテル金沢」(石川県金沢市)をオープンさせる。
羽田のホテルは空きビルを改築、金沢のホテルは、建設途中に破たんしたディベロッパーの債権者から買い取った物件。
今後も「ホテルを本業としていない(企業)から、(ホテル事業の)物件が供給される流れが続く」(山下氏)とみて、投資チャンスを虎視眈々と狙う方針。
不動産投資をめぐっては、ホテル投資の仲介専門家などから、安定的なリターンを継続して出せれば、ホテル投資もコアの投資家の有力な投資対象になり得るとの指摘がある。
不動産総合サービス会社、シービーアールイーの土屋潔ディレクターは「すでに首都圏や関西、地方の主要都市の宿泊に特化したホテルには、(利回りは低くても安定的な配当を志向する)コアの投資家が安定したリターンを求めて投資を始めている」と指摘している。