October 2, 2014 / 11:33 PM / 5 years ago

〔焦点〕月内にカジノ法案審議入りの公算、東京は第1号候補から後退

[東京 3日 ロイター] - 日本国内でカジノ運営を合法化するための法案が、臨時国会で本格的に審議が再開される。衆参両院で自民・公明の連立与党が過半数を握っており、月内に審議が始まれば成立するとみられているが、与党内の一部にもギャンブル依存症の問題を指摘する声があり、曲折も予想される。カジノ誘致では、第1号の候補地から東京が外れ、大阪のほか横浜が有力視され始めた。

「(IR)推進法案が可決できたら(カジノ解禁に向けて)一気に前に行く」──。カジノ賛成派の小沢鋭仁・衆院議員(日本維新の会)は自信をにじませる。推進法案の可決は、「国の意思としてIR推進を決めることを意味する」と見ているためだ。

IR賛成派や関係者によると、推進法案の審議は10月中旬か、遅くとも下旬には始まる見込み。11月末までの臨時国会会期中に可決成立することを目指している。

「特定複合観光施設区域の整備の推進に関する法律案」、通称カジノ推進法案は、観光、イベント、商業を目的とする施設が複合的に立地する統合型リゾート(IR=Integrated Resort)の運営を合法化することが盛り込まれている。現在は刑法で禁止されているカジノ運営が合法的に可能になることも、法案に盛り込まれている。昨年12月に議員立法として通常国会に提出され、臨時国会へと継続審議になっている。

安倍晋三首相も、IRは経済成長の柱になるとし、日本での解禁に前向きだ。財務省や国土交通省、警察庁、経済産業省など主要省庁から内閣官房の審議官と参事官にそれぞれ3人ずつ出向者を迎え入れて体制を整備。推進法案の成立からから1年後をめどに具体的な規制などを明記した法律の整備に向け、政府として準備を始めている。

政府は2020年のオリンピック・パラリンピックの東京開催までに訪日観光客の倍増を目標に掲げており、カジノ解禁によって、海外からの観光客拡大を後押ししたい考えだ。

  <賛成派が強調する「経済にプラス」>

賛成派が前面にアピールするのが、経済効果だ。財政再建と経済成長の達成が急務の日本では、カジノを誘致する地方自治体に税収増が見込まれ、観光面でも波及効果が及ぶと強調する。

みずほ総研は、東京都(台場)でIRが開設された場合、その経済効果は3.7兆円、大阪府(夢洲)はその約3分の1と試算する。

シンガポールではカジノ解禁の09年から約4年間で観光客数が60%増え、観光関連の売上が89%増加(同国政府観光局調べ)した。こうした成功を目の当たりにした賛成派は「(カジノが)経済発展のきっかけとなるのは、シンガポールの例をみると明らか」(小沢氏)と鼻息が荒い。

ただ、アジアにはシンガポールのほか、中華系のマネーを虜(とりこ)にするマカオなどが先行し、強力なライバルとして存在する。みずほ総研・主任エコノミスト、風間春香氏は、日本での成功には「相応の規模や内容が必要になる」と指摘。そうならなかった場合の失敗の可能性を懸念する。

  <参院では曲折も>

衆院では自民党が単独過半数を確保するため、カジノ推進法案は「難なく可決する」(複数の関係筋)とみられている。

しかし、自民党は参院で単独過半数の議席がなく、連立与党の公明党も党内の意見は割れ、民主党も一枚岩ではない。ある民主党議員(参院)は、個人的に法案には賛成でも、党内意見が一致していないことへの配慮や、野党としての存在感をアピールするため、詳細な点まで丁寧にチェックする慎重な審議をするよう要請する構え、という。

反対派からは、ギャンブル依存症の問題やマネーロンダリング(資金洗浄)を助長しかねないといった批判が出ている。

また、パチンコや公営ギャンブルが認められている日本で、民間運営のカジノを合法化することが法制度上、整合性を取れるのか、ち密な議論が不十分との指摘もある。

櫻井充・参院議員(民主)は「党議拘束をかけるべきだろう」と指摘。また、「国会通過はそれほど簡単ではない」と話している。

  <大阪、横浜が前線に>

一方、候補地をめぐっては、大阪府が夢洲(ゆめしま)を準備し、大型リゾートの設置や近隣テーマパークであるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)との連携が有力視されている。

MGM やラスベガスサンズ など外資系IR運営会社が日本での候補地として有望視する東京都は、舛添要一知事がカジノについて「優先課題ではない」と発言。2020年のオリンピック・パラリンピックの開催準備が本格化するなかで、台場を日本のカジノ第1号として開発するのは、物理的にも時間的にも不可能との見方が広がっている。

東京都のIR担当チームは、企画立案を担当する知事本局から、港湾局総務課に所属が移った。都庁の組織再編の一環として移管されたというが、関係者によると、事実上の降格扱いとみられる。

東京都が五輪を優先させるなか、横浜市は誘致に向けて動き出した。IR担当の専門部署は設けていないものの、予算を付け、IRの功罪や横浜にとっての経済効果について、検証するリサーチをシンクタンクに発注。IR誘致が臨海部の発展には有効とみて、法案審議を注視しながら市議会で意見集約を図る考え。

電通 の岡部智氏(ソーシャルソリューション局・IR観光プロジェクト部長)は「横浜は市全体の都市計画にIRをどう絡めるかがカギになるだろう。東京は五輪最優先、IRはその後になるだろう」とみている。 (江本恵美、安藤律子 編集:田巻一彦)

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