October 16, 2014 / 5:12 AM / 4 years ago

〔焦点〕7─9月成長率、民間に2%予測 政府内で増税ハードル引き下げの声

[東京 16日 ロイター] - 10月に入っても国内景気は雲に覆われたままだ。民間エコノミストの間では7─9月期成長率が当初の4%台の見通しから、2%台に下方修正する動きが出てきた。一方で政府内には成長率の数字が低くても、秋にかけて経済データが尻上がりに回復するなら、消費税の再増税を認めるという事実上の「ハードル引き下げ論」が浮上している。足元で株価が下落しており、政府は極めて厳しい判断を迫られそうだ。

   <7─9月期見通し、下方修正相次ぐ>

 「7、8月ともにデータは予想していたより弱かった。9月にかけて経済指標が上向きになるかどうかをみて、1つの判断としたい」──。政府内では夏場の天候要因もあり、7─9月のGDPが思うように伸びないことが明らかになるにつれ、消費税再引き上げの判断基準について、徐々にハードルを下げつつある。

当初、政策当局幹部は4月消費税引き上げの反動減が消える夏場の高成長を描いていた。数字を明らかにしてこなかったものの、7月末の段階では「相当良い数字が出るはずだから心配ない」としていた。

しかし、9月が終わってみると「成長率の数字自体は重視しない」との声も浮上してきた。

民間エコノミストの間では、ここへきて7─9月期成長率を大きく下方修正する動きが出ている。

民間調査機関の予測をまとめたフォーキャスト調査では、7─9月期GDP全体の成長率について、9月上旬発表分の年率4%から10月調査では3.7%に下方修正された。

さらに前週末から今週にかけて引き下げが相次ぎ、バークレイズ証券が2.2%に引き下げたほか、BNPパリバ証券も2%程度、ゴールドマン・サックス証券も2%台にとどまると予想している。

こうした引き下げの中心的な材料は、GDPを占う上で最も信頼できる「消費総合指数」が8月に前月比で0.4%とわずかなプラスにとどまったためだ。実質民間最終消費支出が4─6月期に前期比5%超の落ち込みとなった後にしては、弱い結果だった。

バークレイズ証券・チーフエコノミスト・森田京平氏は「天候要因があるにしても8月の統計は想定をかなり下回った。今後、他の調査機関でも7─9月期GDPの下方修正の動きが相次ぐだろう」とみている。

  <気になるマインド調査の悪化>

それでも8月までの消費データの弱さは、天候による影響も大きいというのが政府の見立て。9月以降にその要因がなくなれば、回復してくるとの期待がある。

しかし、10月に入り、楽観論も徐々に後退してきている。9月末までの楽観論の背景には「株価が崩れていない限り、景気に大きな変化はない証拠」(別の政策当局幹部)との声もあった。だが、足元で株価は急落しており、状況は一変している。

  消費者のマインドは9月段階で、改善どころか悪化が目立ち、失望を誘う結果となっている。景気ウォッチャー調査は現状判断が8月から横ばい、先行き判断は悪化。消費者態度指数も増税後3カ月連続で改善していたが、8月の落ち込みから9月は一段と悪化してしまった。

RBS証券・チーフエコノミストの西岡純子氏は「消費増税から半年弱が経過して、なお消費者センチメントが伸び悩む様子が鮮明となった」と指摘する。加えて株価の低迷が続けば、消費をサポートしてきた資産効果に水を差しかねない。

<政府にとって微妙な情勢に>

 もっとも、9月になって回復感が出ている消費データもあり、景気指標はまだら模様の印象だ。

好転したデータの筆頭は自動車販売。前月比で大幅に改善し、特に悪化が続いていた軽自動車は20%増(SMBCフレンド証券の算出)と持ち直している。

小売店でも三越伊勢丹 やパルコ 、ユニクロ や良品計画 などが、前年比増加幅を拡大している。夏場に比べて天候がさほど悪くなかったことから、客足が戻った面もあるようだ。 

一方、9月の日曜日が前年よりも1日少なかったため、百貨店でも大丸・松坂屋やそごう・西武が前年比減収となり、外食ではすかいらーく (既存店)の売上が、今年2月以来の前年割れ。

10月は、週末に連続して台風が接近・上陸し、天候要因は依然として消費の伸びを抑え込んでいる。

また、生産の停滞も不安材料だ。鉱工業生産統計からみて生産は在庫調整局面に入ったとみられ、企業活動の停滞が雇用・所得面に影響し始めている可能性がある。

新規求人倍率はすでに頭打ちとなっており、残業は前月比で4月以降減少が続き、所得の伸び悩みにつながりそうだ。家計にとって夏のボーナスの増加と残業代の減少とが相殺し合う展開が予想される。   

果たして政府が期待するように、9月以降のデータが「尻上がり」になるのか──。成長見通しを下方修正した機関からも「2%という絶対数字自体は日本経済の潜在成長率を上回り、不合格とも言えない」(バークレイズ・森田氏)という声も出ている。

ただ、想定以上に景気回復が緩慢なペースに落ち込み、増税実施に反対の声も強まる可能性がある。「政府にとっては微妙な結果」(BNPパリバ証券・河野龍太郎氏)となりそうだ。

そうした状況の下で「消費税再引き上げは予定通り実施されるが、大型の経済対策の必要性が議論されることは必至」(バークレイズ・森田氏)というシナリオになる可能性もある。 (中川泉 編集:田巻一彦)

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