April 8, 2015 / 10:02 AM / 3 years ago

訂正-〔財政再建を問う〕高齢化の現実あり消費税25%必要、歳出改革も=大和総研・鈴木氏

(4月3日に配信した記事本文中の「消費税率は2020年ごろには20%」とした記述を「消費税率は2030年ごろには20%」に訂正します)

[東京 3日 ロイター] - 大和総研・主席研究員の鈴木準氏は、ロイターとのインタビューで、2030年代には消費税率25%が必要な厳しい高齢化に直面しているとの認識を示し、政府が今年夏までに策定する「財政健全化計画」では、歳出削減と増税の組み合わせで取り組む必要があるとの認識を示した。

鈴木氏は、財政再建の手法は、経済成長、歳出改革と歳入改革の3つしかないとし、経済成長に依存した改革については、問題は解決しないと指摘。「不確実度の高いものを前提におくべきでない」と退けた。

歳入改革については「消費税について完全に議論を封印して(財政再建が)うまくいくとは思わない」とする一方、消費税率10%が現実になっていない現状では、「生煮えの負担増」の議論で「歳出抑制に対する取り組みが、ないがしろになってもいけない」と警告した。

歳出改革では、高齢化対応が最大のテーマとなるなか、給付の削減に対して、民間活力につなげる工夫が必要と強調した。

計画の実効性が乏しいと市場が判断すれば「円安が継続的に進み、本来望んでいないインフレに陥る可能性がある」と見通し、「(財政)破綻の始まりだ」と強く懸念した。

大和総研は2013年5月に発表した政策提言「超高齢日本の30年展望」で、相当大胆な給付抑制を行っても、2030年代半ば以降の消費税率は25%程度必要と試算した。

通過点の2020年度までを対象期間とする「財政健全化計画」への取り組み方を、鈴木氏に聞いた。

インタビューは2日に行った。概要は以下の通り。

──財政健全化計画の基本的な考え方。

「経済ばら色で財政がぼろぼろになる、あるいは、財政は再建されるが経済がぼろぼろになるということはあり得ない。一兎を追って一兎を得るということにはなり得ない。(経済成長と財政再建の)両方ぼろぼろになるか、両方なんとかなるかのどちらかだ」

「景気がよくなれば、政府の財政赤字が自動的に縮小するということでは全くない。高齢化を主因に、政府の財政赤字が拡大しているからだ。特に団塊世代が2020年代半ばには後期高齢者入りする。その後には、団塊ジュニアの第2次ベビーブーム世代が高齢化していくため、疾病率は国民全体で高くなっていく」

「日本の高齢化の問題は2020年代、2030年代も続き、2040年代が一番厳しい。2020年度に、20年代、30年代を乗り越えられるような社会システムを作るめどがどれだけできるかにかかっている」

「(通過点の)20年度にあまり固執してはいないが、20年度の健全化目標を降ろしてしまうと、改革の手綱が緩むことになる。今掲げている20年度の基礎的財政収支(プライマリーバランス・PB)黒字化目標は、極めて重要だ」

──「増税なき財政再建」は可能か。甘利明経済再生相は、消費税率は10%までで計画期間中さらなる増税はしないと明言、増税論を封印している。

  「日本の国民負担率の低さを考えた場合、また日本の高齢化率の高さを考えた場合、諸外国と比較して、日本だけが低い負担で諸外国並みの社会保障を含めた政府サービスを提供できるとは到底思えない。一定の国民負担増は間違いなく必要だ」

「それを保険料でやるのか、消費税以外の税でやるのか、あるいは消費税でやるのか(複数の選択肢があるが)、現役に対する負担となる保険料には限界がある。所得税も、主に現役に対する負担なので難しい。法人税はどちかかというと下げる方向にある。とすると、消費税しかない。消費税についての議論を完全に封印して(財政再建が)うまくいくとは思わない」   「ただ、10%の消費税税率が現実のものになっていない状況であり、先送りされたという事実がある。17年4月に(10%に)上げなければならないし、上げられる環境をつくらなければならない状況にあり、現時点で、政策担当者が(10%の)その先について言えないということも理解する」

「短期的にも、統一地方選があるので、『生煮えの負担増』の話をいきなり乱暴に持ち出し、歳出抑制に対する取り組みがないがしろになってもいけない」

「長期的には、相当の歳出改革を行ったとしても、消費税率は2030年(訂正)ごろには20%、2030年代にはさらに5ポイント上げ25%にする必要がある」

──具体策の策定には、どう取り組めばよいか。

「諮問会議民間議員は、成長と歳出改革で毎年PB赤字0.5%ポイント改善を提言しているが、0.5%ずつやっていけばゼロになるでは不十分だ。具体的に数量ベースで議論していかなければならない」

「1990年代後半の『財政構造改革法』、2000年代の『骨太2006』。共通点は数字の目標を設定したこと。しかも、ある程度、歳出項目ごとに数値目標を設定したことが重要で、経済環境の激変で両方ともうまくいかなかったが、今年夏に示される新計画では、実効性の評価において、従来の財政健全化ルールを超えるものであることが強く期待される」

──従来のルールを越える計画とは。

「高齢者向けの給付の伸び方を抑制するのが基本。負担増はどこまで議論できるかわからないが、(給付の抑制と負担増は)いずれも、経済に対してはネガティブインパクトを与える。それを補えるような民間側の新しいビジネス・サービスを組み合わせることで、財政構造改革法や骨太2006を超える財政改革プランになる」

「たとえば、マイナンバー制度をどう使っていくのか。医療保険者が加入者に対して、健康増進を頑張れば後期高齢者医療支援金がその分減額される、介護納付金が減額される、あるいは、企業が健康投資をした場合には、税制上のインセンティブを与える。医療について、窓口負担を自分で払うための貯蓄だったら税制優遇する等々」

「政府による支給が縮小した部分を補うような新しい民間のサービスや投資が、同時に起きるように組み合わせていかなければ、(成長と財政再建の)二兎は追えないだろう。そういう構想を打ち出せるかどうかが重要だ」

──経済成長だけで財政再建は解決するか。

「経済成長で解決するとは全く思っていない。税収の弾性値がもっと高いのではないかとの意見があるが、全く理解できない。デフレ脱却、経済成長だけでもって、目的が達成できるとは、全く思えない。給付を抑制するための制度改革と、国民負担増という制度改革が必要だ」

「不確実度の高いものを前提に置くべきでない。(財政再建で)まず成長の部分を考えるのは今までにない話で、それをどう取り扱うかがプラン全体の信頼度にもかかる。根拠なく、そこを大きくしてしまえば、『信頼ない』ということになる」

──安倍政権に財政再建の覚悟はあると見るか。

「消費増税を先送りしたことは、財政再建についても、安倍政権が全て引き受けることになったと受け止めている。年初からの諮問会議の議論も、いわゆる好循環の強化と並んで、財政健全化が大きな政策イシューになっている。安倍首相も10%への消費税引き上げは必要だということは明言しているし、20年度のPB黒字化目標も堅持すると言っている。政治がどういうタイミングでどこまで何をいうか理解しながら見ていかないと、一方的に批判はできない」

──計画の実効性が乏しいと判断された時の市場の反応は。

「金利が急騰するとは考えにくい。むしろ、円安が継続的に進み、本来望んでいないインフレに陥る可能性がある。(財政)破綻の始まりだ」

──実効性を高めるには何が重要か。

「実効的な監視体制について、今回どこまで盛り込めるかもポイントだ。PB黒字化に向けた進ちょく管理、監視の仕組みが重要で、(これがなければ)目的の経路に乗っているのか誰も評価できない」

吉川裕子 編集:田巻一彦

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