October 7, 2015 / 9:17 AM / 4 years ago

UPDATE 2-2%早期達成姿勢は変わらず、新興国減速の影響注視=日銀総裁

(情報を追加しました)

[東京 7日 ロイター] - 日銀の黒田東彦総裁は7日、金融政策決定会合後の会見で「物価の基調は着実に高まっている」として追加緩和を見送った背景を説明した。一方、2%の物価目標の早期達成に必要なら、ちゅうちょなく追加緩和に踏み切る姿勢を強調。新興国経済の減速が国内の輸出・生産に影響を与えている点にも言及し、市場の追加緩和期待をつなぎとめた。

<デフレではないが、2%達成道半ば>

消費者物価指数(生鮮除くコアCPI)のマイナス転落や景気の下振れ懸念から市場関係者の間では追加緩和観測が高まっており、2017年度までの経済・物価見通しを示す月末の次回会合に向けて、今後も市場の憶測が高まりそうだ。

黒田総裁は、2%の物価目標を実現できる時期について、従来通り「2016年度前半とみている」としつつ「原油価格動向で多少前後する」と繰り返し、原油価格が日銀の想定(ドバイベースでバレル50ドルから70ドル)を大幅に下回る現状では、後ずれする公算が大きいと事実上認めた。

安倍晋三首相が9月24日に「デフレ脱却は目の前」と発言し、政府・日銀でデフレ脱却に向けた姿勢にそごが生じているとの見方が市場でささやかれているが、総裁は「政府との共同声明で記された2%の目標を早期に達成する方針に変わりはない」と強調。必要とあらばちゅうちょなく政策調整行うことは変わらない」と繰り返した。

もっとも「2%達成は道半ばだが、過去2年半でデフレ状況は変わった」とも述べた。

<家計の予想物価上昇率は安定>

現時点では追加緩和に踏み切らない理由として、「物価の基調は着実に高まっている」と説明。生鮮・エネルギーを除く新コアコアCPIが8月は前年比1.1%まで上昇したほか、日用品などの価格上昇が続いている点を指摘した。

日銀が2日に公表した企業の物価見通しは、1─5年後いずれも下方修正された。市場では、日銀が物価のけん引役として重視する予想物価上昇率が低下している証左として追加緩和観測が高まっている。しかし総裁は、家計のアンケートでは将来物価が上昇するとの回答比率が横ばいであることを踏まえ、「家計の予想物価上昇率は全く変わってきていない」と反論。企業の物価見通しも、「足元下がっているが先行き上昇する見方は変わっていない」と指摘した。

<新興国減速で輸出・生産横ばい>

8月の鉱工業生産が前月比で1.2%と大幅に下落し、7─9月も2四半期連続で前期比マイナスとなる可能性が懸念されているが、総裁は「GDPに占める鉱工業生産のシェアは2割くらい」と指摘。物価を左右する需給ギャップを占う上では「全体の労働需給や企業設備の稼動状況などを見ていく必要があり、鉱工業生産は重要だが、それがGDPの大半を決める状況ではない」と説明した。

  また「マクロ的な需給バランスは労働面を中心に改善傾向」と述べ、8月の有効求人倍率が23年ぶりの高水準になるなど人手不足による労働需給のひっ迫が、物価を押し上げていくとの見方を強調した。

一方、「新興国減速の影響で輸出や生産が横ばい状態であるのは事実」とし、「そうしたことも踏まえつつ(経済)全体を見ていく必要がある」とし、輸出・生産の停滞を注視している姿勢をうかがわせた。

<企業の想定為替レートは実勢より円高、業績に「のりしろ」>

1日公表された9月短観では、大企業製造業の2015年度の想定為替レートがドル/円117円と市場実勢に近づき、企業の業績上方修正余地が狭まっているとの懸念に対して、黒田総裁は「想定レートは実勢よりも円高で、(上方修正の)のりしろは残っている」と指摘した。   スーパーなどで販売されている「日用品の価格の状況などを見ると着実に上昇してきており、来年の春闘についても賃金上昇は期待される」と指摘。賃金について「確かに上昇している」が、「企業収益が過去最高水準にあり人手不足が広がっているのを勘案すると、賃金上昇がさらに加速していく余地はある」と期待した。

<GDP600兆円は「チャレンジング」、付利引き下げない>

9月の米雇用統計が市場予想を大幅に下振れ米利上げ観測が後退しているが、「スラック(仕事に付けていないひと)が少なくなれば新規雇用者数は少なくなる」と指摘。「米国の雇用が着実に改善している」と述べた。 「米利上げが実施されれば、米経済がより順調ということ表し、米経済、世界経済にプラス」との従来見解を繰り返した。   安倍首相が新しい経済政策キャッチフレーズである「新3本の矢」に掲げた名目GDP600兆円の目標については「達成可能(doable)だがチャレンジング」と述べた。   仮に追加緩和に踏み切る場合、市場では国債の買い入れ拡大余地が少ないため、金融機関の手元資金に付く利息である当座預金の付利を引き下げるとの憶測がくすぶっているが、「付利引き下げは検討していないし、考えが近い将来変わる可能性もない」と切り捨てた。 (竹本能文、伊藤純夫  編集:宮崎大)

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