[上海 12日 ロイター] - 上海外国為替市場の人民元相場 は対ドルで堅調。市場関係者によると、中国人民銀行(中央銀行)がこの日の基準値を大幅な元安・ドル高水準に設定した後、国有各行が元相場の安定を保つためにドルを売った。
人民銀は取引開始前に元の対ドル基準値(中間値) を1ドル=6.6908元と、8月31日以来の安値に設定した。前週末日の基準値は6.6684元。
市場関係者によると、基準値が心理的に重要な節目の6.7元に近づいたため、国有各行は人民銀の指示を受け、元相場を6.68元前後に押し戻すためにドルを供給した。
上海の中国系銀行トレーダーは「人民銀は相場を6.68元前後に安定させようとしている。いったん6.7元を突破すれば、6.8元はもう目前だ」と説明。
ただ、企業勢は午前の段階ではドル買いにやや消極的な姿勢を示したという。
人民銀のコメントは得られなかった。
当局は6.7元割れを警戒している。前回、7月中旬にこの水準を割り込んだ際は、元を押し上げるために国有各行が積極的にドルを売った。
複数の当局筋によると、人民銀は経済を支えるため、2016年は6.8元までの下落を受け入れる可能性があり、その場合の年間下落率は、過去最大だった15年の4.5%と同水準になる。
直物相場は6.6803元で寄り付き、正午までに前営業日終値比0.0043元高の6.6787元で取引された。
人民銀金融政策委員会の樊綱委員は先週、メディアに対し、当局は元を緩やかに下落させるため、緩やかな管理方法を活用すべきだとの考えを明らかにした。
市場関係者によると、樊氏の発言は、当局が段階的に外為市場への介入を減らすことを意味しているが、単に個人的な見解を表明した可能性もあるという。
上海の別の中国系銀行トレーダーは「人民銀がこうした元安のシグナルを市場に発するとは思えない」と指摘。国有各行は一見、元を支えるための動きの中で、ドルを売ったと語った。
市場関係者によると、米連邦準備理事会(FRB)が今月、利上げするかどうかもかく乱要因だ。
オフショアの元相場は6.6863元と、国内直物比0.11%安で取引された。
オフショアの1年物ノンデリバラブル・フォワード(NDF) は6.8740元と、基準値比2.67%安で取引された。
私たちの行動規範:トムソン・ロイター「信頼の原則」