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〔クロスマーケットアイ〕沈むイールドカーブ、「お上」に逆らう円債市場 銀行株も下落
2016年9月28日 / 06:56 / 1年後

〔クロスマーケットアイ〕沈むイールドカーブ、「お上」に逆らう円債市場 銀行株も下落

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[東京 28日 ロイター] - 日本国債の利回りが低下している。日銀は長短金利操作政策を導入したが、目標値からのかい離が止まらない。オペの国債購入額を減らせば、テーパリングと受け止められ、円高が進みかねず、日銀は金利低下への対応が難しいとの見方が市場で強いためだ。利ザヤ改善期待が後退し、銀行株や保険株は下落。日本株もさえない動きが続いている。

<テーパリング困難との思惑>   

日本の10年国債利回り は28日、マイナス0.090%に低下した。日銀は21日の金融政策決定会合で、10年国債利回りが概ねゼロ%程度で推移するよう長期国債の買い入れを行うことを決定。当日は、プラス0.005%と一時「水面上」に浮上したが、その後、再び低下を始め、どんどん目標値から離れていっている。

「お上」に逆らう動きを続ける市場の思惑はこうだ──。日銀は、金利が上昇した場合の抑制策を持っている。一時的にせよ、国債買い入れオペを増やせばいい。中でも指し値オペで全量買い入れる手段は強力だ。しかし、金利が低下した場合はコントロールが難しいとみられている。金利を引き上げるために、オペでの購入量を減らせば、テーパリングと受け止められかねないためだ。

日銀は、長期国債の保有残高を年間80兆円ペースで増やす政策目標は維持しており、国債オペで長期や超長期ゾーンを減らし、他のゾーンを増やすこともできる。実際、足元の市場では「日銀が長期・超長期国債の購入を減らして、中短期債を増やすとの見方から、中短期債を購入する投機筋もいる」(国内証券)という。

しかし、そうした細かいオペレーションが円債以外の市場で認識されるかは不透明だ。「日銀が、長期ゾーンのオペを減らした場合、海外勢などが金融引き締めにつながるテーパリングの開始だと神経質に反応し、円高材料とする可能性がある」(国内銀行の為替担当者)との指摘は多い。

苦しい日銀の立場を見越して「今は債券のロングポジション、もしくはフラットニングに妙味がある」──。ある国内投信の債券運用担当者はそう語る。

<利回り曲線は「Jカーブ」化>   

金利低下のあおりを食らっているのが証券株 や保険株 、銀行株 の金融セクターだ。28日の東京株式市場では、業種別騰落率のワースト3を占めた。円高懸念もあるが、金融セクターの軟化に引きずられ、日経平均 は一時250円を超える下落となっている。

「金利スティープニングによる金融機関の利ザヤ改善という期待が、大きく後退している」と、JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は指摘する。

金利低下は日本だけの現象ではない。米国や欧州でもじわりと下がっている。しかし、金利のスティープニング期待を高めてきたのは日銀であり、円債金利の低下が世界的な金利低下の一因になっているとも言えそうだ。

28日時点で2年国債利回り はマイナス0.3%。5年国債 もマイナス0.24%。本来なら、政策金利のマイナス0.1%と10年国債のゼロ%の2点間に収まるはずだが、いまのイールドカーブはきれいな右肩上がりではなく、アルファベットの「J」を横に長くしたような形になっている。

政策金利のマイナス0.1%付近に対し、10年付近までは逆イールド状態だ。銀行の長期貸出金は3─5年が中心であり、本業面での苦しい状態が続く。これを修正するには、日銀は追加緩和期待をなくすか、テーパリングに動くのが最も有効だが、足元では現実的な選択肢とは言えない。市場は、そんな日銀の懐事情を「そんたく」し、債券のロングポジションを積み増しているようだ。

<「キャッチボール」が必要>

日銀の新しい政策目標は、10年国債利回りをゼロ%に固定するとしているわけではなく、あくまで「ゼロ%程度」だ。黒田東彦総裁も「完全にコントロールできるものではない」(27日会見)と語っている。イールドカーブは一定の許容レンジを設けて運営されていく見通しだ。

どの程度のレンジを許容するのか──。市場では10ベーシスポイント(0.1%)との見方が多い。28日の市場でも10年国債利回りは、マイナス0.1%手前のマイナス0.09%で低下は止まった。市場も「許容範囲」を意識しているのは間違いない。

ただ、市場では「金利低下の場合は抑制が難しいため、個人的には上下それぞれ10ベーシスポイントではやや狭すぎるとみている」(三井住友アセットマネジメント・理事兼債券運用グループ副ヘッドの深代潤氏)との声もある。

イールドカーブの落ち着きどころは、今後の日銀と市場の「キャッチボール」のなかで、見出されていくことになろう。

市場がこの先に注目するのは、まず30日。日銀から発表される見通しの「当面の長期国債買い入れの運営」だ。10月のオペ予定であり、それぞれの年限での購入予定額が発表される。ここで長期や超長期国債の買い入れ予定額がどの程度になるか、関心を集めそうだ。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

 <東京市場 28日> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

日経平均  国債先物12月限 国債344回債   ドル/円(15:00) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 16465.40円 152.36円 -0.090% 100.60/62円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

-218.53円 +0.21円 -0.010% 100.41/44円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注:日経平均、国債先物、現物の価格は大引けの値。

下段は前営業日終値比。為替はNY午後5時。

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