[ワシントン 16日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)が16日発表した3月の鉱工業生産指数は製造業部門が前月から横ばいだった。これまで2カ月連続で落ち込んでいた。市場予想は0.1%上昇だった。
四半期ベースでは年率で1.1%低下し、2017年第3・四半期以来初めて落ち込んだ。前期は1.7%上昇していた。
MUFGのエコノミストは「製造業生産が第1・四半期、下向きに動いた。このことは、トランプ政権の経済チーム発足以来初めて、製造業や生産再生の勢いが失われつつある状況を示す。貿易戦争と米国第一主義政策で、製造業拠点がまだ国内に戻ってきていない」と話した。
JPモルガンのエコノミストは「製造業はこのところの最低迷期を脱しつつある可能性がある。ただこうした改善を裏付ける材料はそれほどはっきりしていない」と指摘した。
3月は自動車と木材製品の落ち込みが全体水準を抑制した。
2月の数字は当初発表の0.4%低下から0.3%低下へ改定された。
全体の鉱工業生産指数は0.1%低下した。前月は0.1%上昇していた。第1・四半期は0.3%低下。前期は4.0%上昇していた。
3月の内訳は、製造業生産指数のうち自動車・同部品が2.5%低下。前月は2.3%上昇していた。自動車部門は過剰な在庫が重しになっている。3月の雇用統計では製造業部門の就業者数が17年7月以来初めて減少した。製造業生産指数は自動車・同部品を除くと0.2%上昇した。前月は0.5%低下していた。3月は一次金属とコンピューター・電子機器が押し上げ要因となった。
今後は、航空機大手ボーイングBA.Nの737型機減産方針などが、製造業をさらに圧迫する可能性がある。
ウェルズ・ファーゴ証券のエコノミストは「737MAX型機の納機中止や製造削減が、短期の製造業・受注指標の重しとなり、第2・四半期の国内総生産(GDP)成長率を最大で0.2%ポイント押し下げる可能性もある」と見通した。
鉱工業生産指数のうち鉱業部門は0.8%低下した。前月は横ばいだった。
電力・ガス部門は0.2%上昇した。前月は3.7%上昇していた。
企業がどれだけ十分に設備を稼動しているかを示す設備稼働率は製造業部門が76.4%と、1年ぶりの低水準だった。前月は76.5%だった。全体の設備稼働率は78.8%と前月の79.0%から低下した。1972年から2017年の平均を1.0%ポイント下回っている。FRBは、経済に内在する需給の緩みを見るために設備稼働率に注目している。
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