[東京 17日 ロイター] -
<三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏>
今回のFOMCでは、FRBが利上げ実施時期の見通しを2024年から23年に前倒しすることと、テーパリング(量的緩和の縮小)議論を開始したことが発表され、予想以上にタカ派的な内容だった。テーパリング議論の開始が示唆されるという点は想定内だったが、FRBメンバーによる政策金利の先行き予測(ドットチャート)で、当局者の過半数が23年までに2回の利上げを予想している点は想定外だった。
これまでFRBは「足元のインフレは一時的」との認識を示してきたが、経済指標で強い数字が確認され、早めに金融緩和の出口に向かって動かなければいけないと判断したとみられる。各市場の初期反応は、米長期金利が上昇しドル全面高という、割と分かりやすい動きだった。ただ、足元の米長期金利は1.58%台近辺での推移となり、今年の高値(1.7%台半ば)を抜けて上昇していく雰囲気はみられない。
目先のドル/円相場はドルが底堅く推移するとみられる。仮に米長期金利が今年の高値を超えて、2%近辺まで上昇すればドル高/円安が進行する可能性が高いが、今の水準(1.5%台後半)で収まっている間は、ドル/円は110円台で上値の重さが意識されるだろう。
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