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為替こうみる:投機筋の円ショート拡大へ 実需売り圧力は高まらず=日興SMBC 野地氏

[東京 24日 ロイター] -

<SMBC日興証券 チーフ為替・外債ストラテジスト 野地慎氏>

今後しばらくの間は、投機筋が自信をもって円売りポジション(円ショート)を増やし、ドル/円が高値圏で推移する展開となりそうだ。

円が売られる理由は「エンドレス緊急事態宣言」を背景とした日本経済に対する「諦念論」がある。6月20日に東京都などの緊急事態宣言が解除されたものの、足元では再発令も視野に入る状況だ。

こうしたなか、シカゴIMMの非商業部門(投機部門)の円先物のポジションは、今年3月にネットの円ロングから一気にショートに転換しており、現在も円ショートのままだ。

原油価格の上昇は、資源を持たない日本の交易条件悪化に対する懸念を増幅し、円売りに寄与している。米原油先物価格は緩やかな上昇を続けており、円を買い戻すインセンティブは高まりにくい。

一方で、投機筋の円売りをフォローする実需筋からの円売り圧力はそれほど期待できない。

エンドレス緊急事態宣言のなか、低迷する内需は輸入全体の伸びを抑えており、貿易赤字が円安を促す状況にはならないだろう。

また、米国債利回りが低迷する中で、本邦勢によるヘッジなしの外債投資が増えるとも思えない。米長期金利が1.5%足らずでは、為替リスクに対するクッションが足りないのだ。

さらに、基本ポートフォリオを完成した公的年金は、円安局面で外貨売りのポートフォリオ・リバランス、つまりドル売り/円買いに動く公算が大きい。

以上から、実需による円売りが勢いづくとは考えにくく、投機筋の動向がしばらくの間はドル/円を左右することになるだろう。

ただし、半年後を展望すれば、国際的な供給制約の解消や中国経済の減速などを拠り所に資源価格に下落余地がでてくる。米国では8月のジャクソンホール会議あたりからテーパリング(量的緩和の段階的縮小)の議論が本格化し、資源価格には逆風が吹きそうだ。

国内ではワクチン接種率が徐々に上がることも予想される。こうした内外の情勢変化に応じて、年末にかけては円が再び106円方向に買い戻される可能性が高いとみている。

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