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市場再編「最終ゴールでない」、東芝は十分な情報開示を=東証社長

[東京 5日 ロイター] - 東京証券取引所の山道裕己社長は、来年4月に実施する東証の市場再編をめぐり、現時点で示している各市場の上場基準などは最終的なゴールではないと述べた。改善を継続していく構えで、将来的に見直していく考えを示した。ロイターのインビューで語った。

 東京証券取引所の山道裕己社長は7月2日、来年4月に実施する東証の市場再編をめぐり、現時点で示している各市場の上場基準などは最終的なゴールではないと述べた。改善を継続していく構えで、将来的に見直していく考えを示した。ロイターのインビューで語った。東証で2020年10月撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

東証は現在、市場第一部や市場第二部、マザーズ、JASDAQ(スタンダードとグロース)と5つある市場の区分を、グローバル展開する大企業などが想定される「プライム」、中堅企業向けの「スタンダード」、成長企業の「グロース」といった3市場に再編する。

現在の東証1部は時価総額30兆円超のトヨタ自動車から数十億円の企業まで2000社超が上場し、投資家からみた企業の性質にはばらつきがある。再編を通じて各市場の特徴を明確にすることで、国内外からマネーを呼び込みたい考えだ。

例えばプライム市場では、流通株式時価総額100億円以上、流通株式比率35%以上などの基準を満たす必要があるほか、高度なガバナンスの取り組みを求める。ただ、海外投資家からは、基準を満たさない場合でも計画書を開示すれば「当分の間」上場維持基準の経過措置が適用されることや、新たな基準自体が甘いとして、流通株式比率のさらなる引き上げなどを期待する声も聞かれる。

山道氏は、海外投資家の反応について「方向性は非常にいいが手ぬるい、という意見もある」と説明。この上で、新たな基準は「ファイナルゴールだとは全然、思っていない」とし、将来的に運用状況を点検する意向を示唆した。今回の再編で連携を強めたコーポレートガバナンス(CG)・コードは、3年に1回、見直しすることになっており「必ずリンクできるかはわからないが、見直す時期としてはちょどいいのではないか」(山道氏)と語った。

プライム市場は、上場基準が東証1部から変更されるのに伴い、上場企業数は現在の東証1部より3割程度減少するとの市場の観測もある。山道氏は、市場のコンセプトに合う企業が上場することになるとし「(上場企業の)数の目標はない」とした。

<クロスボーダー上場の案件拡大に意欲>

山道氏は、クロスボーダー上場の拡大にも意欲を示した。東京市場は、政治や規制環境が安定しているほか、潤沢な個人資産が魅力で、上場に興味を持つアジア企業が増えていると指摘。香港やシンガポールでマーケティングを強化していくという。

6月29日には、海外株式を国内株扱いする「日本預託証券(JDR)」の仕組みを用いて、シンガポールに本店があるオムニ・プラス・システム・リミテッドが、東証マザーズに上場した。今年はほかにも、海外企業が日本企業として再設立して上場(コーポレート・インバージョン、日本法人化)するAppier Groupなどの動きもあったと手応えを強調。足元でも「パイプラインには、アジア企業が2―3社ある」と述べた。

米国で利用が広がる特別買収目的会社(SPAC)の国内導入については、ベンチャー企業の成長手段提供の観点から必要性を指摘した。ただ、米国とは市場の構成がかなり異なるとして「そのまま持ってきても上手くいくかは定かでない」と述べ、日本の市場に合う仕組みを考えていくとした。

<アクティビストは「対話促進」の側面も>

山道氏は、市場における「物言う投資家(アクティビスト)」について、従来に比べ、売名行為や株主還元を主眼とするアクティビストは目立たなくなり、企業と実質的な対話をする投資家が増えたとの認識で「企業のエンゲージメント(対話)促進に良いかもしれない」との考えを示した。

東芝が経済産業省と一体となって一部株主の権利行使に圧力をかけたと外部弁護士の調査で指摘された件については、海外の投資家心理にネガティブな影響を及ぼさないか注視していると説明した。東証での海外投資家の売買シェアは65%に上る。

ニューヨークやロンドン、シンガポールなど海外の拠点で投資家との日常的な対話を通じて「日本企業のCGそのものを否定するような極端な見方に結びついているわけではないと理解している」と述べた一方、東芝に対しては「投資家が必要とする情報を十分かつ迅速に開示するよう強く要請したい」と述べた。

東芝と政府の関係に関しては「国益や国家安全保障に関わる企業の場合、世界の主要国では外為法などの制約がある」との考えを示した。

*インタビューは2日に実施しました。

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