[ニューヨーク 29日 ロイター] - 米金融大手JPモルガン・チェース が、コモディティ(商品)現物取引事業から撤退すると発表したことを受けて、これまで商品現物取引で大きな存在感を示してきた金融大手ゴールドマン・サックス とモルガン・スタンレー の動向に関心が集まっている。
両行は、金融商品と商品現物の双方の取引に精通した「ウォール街の精製所」として過去20年間にわたって名をはせてきた。
ただ、モルガン・スタンレーは2012年以降、コモディティー部門の売却を検討。ゴールドマンも現物事業の縮小に動いている。
ロイターが情報公開法に基づき入手した連邦準備理事会(FRB)と両行の書簡によると、両行は、通常の商業銀行の範囲外の業務について、規定順守や事業売却をFRB側と協議している。
ゴールドマンは、少なくとも3月から、金属倉庫会社のメトロ・インターナショナルの売却を検討しているが、ロイド・ブランクフェイン最高経営責任者(CEO)がキャリアをスタートした商品部門のJアロンについては、維持する方針を再確認している。
モルガン・スタンレーは、昨年夏から商品部門のスピンオフ・売却の可能性を模索しているが、成果は出ていない。最近の動きをみると、巨大部門である原油現物取引に資源を集中し、オーストラリアの電力など周辺市場から撤退する可能性もある。
問題は、両行が商品事業の将来を決められるのか、FRBの規制見直しにより選択の余地がなくなるのかだ。
FRBはこのほど、銀行にコモディティ現物市場での取引を認めてきた従来の方針を「再検討している」との声明を発表。
上院でも、銀行によるパイプライン・倉庫など商業資産の保有を認めるべきかをめぐって、公聴会が開催された。
銀行や大手商品取引会社の金属倉庫事業をめぐっては、飲料缶メーカーからアルミ価格の引き上げにつながっているとの批判が出ており、 連邦規制当局と司法省が調査に乗り出している。
コモディテイ現物取引事業からの撤退を表明したJPモルガンは、規制面の圧力が撤退の一因になったとしているが、FRBと銀行側の協議が撤退の決定に影響したかは明らかではない。
事情に詳しい関係筋は、規制リスクや評価に与えるリスクを踏まえれば、商品取引の利益は薄すぎるとして、同行が撤退を決めたと説明している。
ゴールドマン・サックスはすでに多くの商品現物取引事業を売却。今後は商品デリバティブなどの取引に注力する可能性もある。
サンフォード・バーンスタインのアナリスト、ブラッド・ヒンツ氏は、JPモルガン以外の金融機関も、規制強化の流れを受けて、商品現物取引の縮小を迫られるだろうと指摘。
「将来のコモディティ事業は、ファイナンスとリスク管理が中心となり、現物取引には消極的になるだろう。商品市場の専門用語を使えば、ウォール街の金融機関は『ペーパートレーダー』になる」との見方を示した。
ただ、モルガン・スタンレーは、他行を凌ぐ規模の原油の現物取引事業を展開しており、事情は複雑だとの見方も出ている。
ゴールドマン、モルガン・スタンレーのコメントはとれていない。