February 2, 2015 / 8:17 AM / 4 years ago

〔クロスマーケットアイ〕世界的な緩和拡大、円安の推進力低下へ 薄れる「バズーカ」効果

[東京 2日 ロイター] - 世界的な景気減速に警戒感が広がっている。欧州や中国の経済指標は依然弱く、唯一好調とみられていた米国の2014年10─12月期国内総生産(GDP)も事前予想を下回った。原油安の悪影響が先に出ている形だ。それに対応した金融緩和も先進国から新興国に広がっており、先行した「日銀バズーカ砲」の印象が薄れるなか、円安は推進力を失いつつある。

    <「バズーカ2」前に戻った円ショート>

米商品先物取引委員会(CFTC)が発表するIMM通貨先物の非商業(投機)部門の取組によると、対ドルでの円のショートポジションは1月27日までに6万4658枚まで減少した。昨年12月には11万1000枚程度まで増加していたが、1月後半から急減しており、昨年10月末のいわゆる「黒田バズーカ2」以前の水準にまで戻ってしまった。

前週、ニューヨークやロンドンを訪問してきた国内銀行の為替担当者は、ヘッジファンドなど海外投資家の円への関心が、低下していることを感じたという。「円を見なくなったわけではないが、日銀緩和しか円安材料がないなかで、しばらく日銀緩和はないだろうとみているようだ」と話す。

円安期待を抱く市場関係者が減少する中、ドル/円では以前のような円安の勢いは低下。昨年12月8日に付けた121.86円を天井に、最近では119円を超えるのも難しくなっている。

世界は今「金融緩和ブーム」だ。今年に入って、インド、ペルー、デンマーク、カナダ、トルコなどが利下げを実施。欧州中央銀行(ECB)は量的緩和を導入し、ルーブル安防衛のために一度利上げしたロシアも景気対策のために利下げに転じている。各国とも財政政策を打ち出しにくい中で、金融緩和とそれにともなう通貨安に依存せざるを得なくなっているためだ。

三菱東京UFJ銀行・金融市場部エマージング通貨トレーディング室長の今井健一氏 は「世界的な金融緩和競争が激化するなか、日銀緩和は先行した分だけ投資家の興味は円から失われてしまっている。輸出企業や年金、生保などのドル買いで下支えられるだろうが、アップサイドはかなり限られた感じだ」と話す。

    <GDP下振れでドル側材料に懸念も>

円側の材料がなくとも、ドル側の材料があれば、ドル高/円安は進む。世界で唯一と言ってもいい米国の好調な経済が下支え要因であることには変わりなく、ドル/円の大崩れが予想されているわけではない。

ただ、前週末に発表された10─12月期米GDPは事前予想の年率3.0%に対し、2.6%と下振れした。個人消費は依然堅調だが、原油安の影響でエネルギー関係などの設備投資が大きく減速したことが足を引っ張った。

原油安が個人消費を押し上げる効果が確認できたともいえ、悲観論が強まっているわけではない。しかし、次の1─3月期GDPがさらに悪ければ、2期連続で成長率が減速することになり、FRBの利上げ議論にも微妙な影響をもたらすかもしれない。1─3月期GDPの発表日はFOMC(米連邦公開市場委員会)2日目と同じ4月29日だ。

「先進国では、米国が唯一例外的に利上げを検討しているが、先のFOMCでは、海外景気、国際情勢、金融環境を政策判断に際して視野に入れるとした。原油価格の暴落と低迷、海外景気の低迷、低インフレの継続などから、米国については、年央の利上げという市場予想に今のところ変わりはないものの、どちらかといえば、後ろ倒しのリスクが高い状況だ」とFPG証券・代表取締役の深谷幸司氏は指摘する。

    <一段の円安なしでも増益確保か>

一段の円安なしで日本株は上昇することができるのか──。ドル/円 を年間平均レートでざっくりみれば、2012年が83円、13年が100円、14年が110円だ。円安がさらに進まなくとも、現在の118円程度の水準で推移すれば、為替換算の円安効果は来期も十分享受できる。

大和証券の調査対象200社ベースの予想では、2015年度の経常利益は10%弱の増益予想だ。15%との強気な見方もある。14年度が本決算段階で5%程度増益、来期10%増益があると前提した場合、PER(株価収益率)などバリュエーションが一定であったとしても、増益分だけで日経平均 は現水準から2700円程度の上昇、2万0300円程度が期待できる計算になる

JPモルガン・アセット・マネジメントのグローバル・マーケット・ストラテジスト、重見吉徳氏は「円安に頼らなくても、企業業績は拡大が期待できる。原油安効果でマージン改善が期待できるほか、消費増税の延期もプラスだ。生産も上向きになっている」と指摘。バリュエーション面でも、日本株には割安感があるとみている。 <新たな懸念材料も>

ただ、日本には新たな懸念材料も浮上してきている。イスラム国に拘束されていた後藤健二さんを殺害したとみられる動画が公開されたことについては、短期的な影響は乏しいとみられているが、今後、問題が拡大したり、政策が経済政策から安全保障に傾くと市場にはネガティブ材料になりかねない。

外為市場では「最悪の結果となってしまったが、日本政府はヨルダン政府とともに手を尽くした感じがある。今のところ、安倍政権への打撃はないと思う」(国内金融機関)との声が聞かれた。

だが、安倍政権の経済政策への集中力がテロ対策などで削がれることになれば「円安圧力が弱まってくるとの思惑が出て、円が買われる相場もあり得る」(同)ため、中長期的な影響を見極める必要があるという。

(伊賀大記 編集:田巻一彦)

 <東京市場 2日> ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

日経平均  国債先物3月限 国債337回債   ドル/円(15:00) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 17558.04円 148.01円 0.280% 117.68/70円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

-116.35円 -0.12円 変わらず 117.44/47円 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 注:日経平均、国債先物、現物の価格は大引けの値。

下段は前営業日終値比。為替はNY午後5時。

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