February 16, 2015 / 6:02 AM / in 5 years

財政健全化へ社会保障費削減3.4─5.5兆円など、土居慶大教授らが提言

[東京 16日 ロイター] - 公益財団法人・総合研究開発機構(NIRA)の土居丈朗・慶応大教授らは16日、2020年度の基礎的財政収支黒字化目標を実現するために、医療・介護・年金などの社会保障改革で3.4兆円─5.5兆円程度の削減が可能とする具体策を提言した。内閣府試算で示された9.4兆円の赤字削減のためになお不足する分については、消費税率2%程度の引き上げを求めた。

ただ、消費税率の引き上げが直ちに満額の税収増をもたらすわけではないため、2兆円前後の公共事業費削減など、追加的な支出削減が必要になるとしている。

提言は1月19日に続く政策提言の第2弾。内閣府が12日に公表した中長期試算を前提に具体策を提示した。

提言は、内閣府試算で明らかになったのは「経済成長だけでは財政健全化は実現できないこと」だと指摘。名目3%台の成長率でも目標実現に必要な対応額は9.4兆円残り、慎重な見通しに立てば要対応額はさらに7兆円程度増加する。提言は「これ以上望めないほどかなり楽観的な名目成長率が続くと仮定することは、黒字化達成に向けてさらなる税の自然増収は期待できず」、目標達成には「歳出削減と増税による税収確保を一体として改革することから政府は逃げられないことを意味している」とした。

そのうえで提言は、政府は「具体策を何も示していない」と問題点を指摘し、独自の具体策を提案し、具体的な議論の進展を促した。

<社会保障削減策、社会保障の質を落とさず>

具体的には、1)医療提供体制の改革で0.8兆円─2.7兆円、2)ジェネリック医薬品の普及で0.3兆円─0.5兆円、3)調剤医療費の抑制・薬価の適正化で0.8兆円、4)介護給付の効率化・自己負担引き上げ等で1.1兆円、5)公的年金等控除の圧縮で0.4兆円──など5項目の削減策を上げ、社会保障の質を落とさず、公費ベースで3.4兆円─5.5兆円程度赤字を削減することができるとした。

削減策は、2020年度までの実行可能性と公費削減への寄与の観点から絞りこんだ。

一方、提言は、削減策は「数合わせ」ではないと強調。過剰な社会保障支出の削減や効率化によって社会保険料や自己負担が軽減でき、事業主の社会保険料負担や逆進性の強い社会保険料負担の軽減を通じて、「経済成長や国民生活の質の向上につながる」としている。

<PB黒字化は財政健全化の一里塚、継続的な歳出・歳入改革を>

また、提言は「債務残高対GDP(国内総生産)比率さえ低下すればよく、基礎的財政収支の黒字化目標に固執すべきではない」との議論に対して苦言を呈した。

足元緩やかに低下している動きは、名目金利が名目成長率よりも極端に低くなっていることを反映したにすぎないと反論。PB黒字化は「財政健全化の一里塚だ」とし、「PB黒字化目標を断固堅持しなければならない」と強調した。

そのうえで提言は、PB黒字化が達成されたとしても、内閣府試算では18兆円程度の財政赤字が依然として残る深刻な財政状況を指摘し、収支改善に向けて、支出の効率化を続けるとともに、「20年度以降に消費税率を数年ごと、たとえば、3年ごとに2─3%ずつ引き上げていく必要がある」と指摘。歳出・歳入両面から継続的な改革を求めた。 (吉川裕子)

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