[ニューヨーク/ロンドン 24日 ロイター] - 英国民投票で欧州連合(EU)離脱派が優勢となり、英国の金融業界に衝撃が走った。残留が決まるとの当初の確信は崩れ、金融市場は乱高下。職場が維持されるのかどうかすら先行きが不透明になった。
国民投票の結果、サンダーランドとニューカッスルで離脱派の善戦が判明すると、残留派の勝利を見込んで買われていたポンドは急落。市場のムードは一変した。
ワールド・ファーストのチーフエコノミスト、ジェレミー・クック氏は「ニューカッスルは残留派がかろうじて買ったが、サンダーランドは離脱派の圧勝で、ポンドが売り込まれた」と指摘。「商いが薄くて流動性も低く、相場が反転することもあり得る。しかし利益を確定してゆっくり眠ろうと思っていたトレーダーは夢が絶たれた」と話した。
シティ やドイツ銀行などロンドンに拠点を大手金融機関は、トレーダーが終日職場を離れず、顧客に対応した。またニューヨークの銀行関係者も顧客であるヘッジファンドからの要請に答えるため、人員を増やして深夜まで業務に当たった。
UBSウェルス・マネジメントの英投資部門責任者、ビル・オニール氏は「アジア市場全体で安全資産への逃避がものすごい勢いで起きている」と話した。その上で、市場の関心は先進7カ国(G7)の対応に移ったとした。
投資銀行のバンカーにとって、英国のEU離脱はどこで働き、どこに住むかという問題にもかかわる。英国がEUから離脱すれば、英国を拠点とする企業はフランクフルトやパリ、ダブリンなどに移転せざるを得なくなる。
英シティの政策・資源委員会のマーク・ボリート委員長は「私の人生で最も重大な投票だ。その衝撃は(ポンド危機が起きた)ブラック・ウェンズデー(暗黒の水曜日)やリーマンショックですら比較にならない」と述べた。
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