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[東京 1日 ロイター] -
<三井住友銀行 チーフストラテジスト 宇野大介氏>
過去2日の株式市場では、31日に米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長が今後の緩和措置に距離を置く発言をしたことや、1日にトランプ大統領が対中関税第4弾を9月に発動すると表明したことで、株売りとなった。
しかし、より長い目でみれば、対中関税発動が決まったことで、米国が金融緩和サイクルを開始せざるを得なくなるとの見方が市場に根付いていくことが予想され、利下げ織り込みに伴う株価維持、もしくは上昇という経路は保たれるとみている。
外為市場では、緩和継続がもたらす株価下支え効果により、金利低下に伴うドル売りは打ち消される。実際、主要6通貨に対するドル指数は現在98前半と2年3カ月ぶりの高水準にある。
米国の金融政策が株価維持のためにあり、米政権が「株高」と同時に通商上有利な「弱いドル」を望むのだとすれば、後者は金融政策以外のツールで達成を目指すべきだろう。ドルの下落を促すには、ドル売り介入の実現性を考慮することのほうが重要となってくる。
FRBは31日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、トランプ大統領からの大幅利下げの圧力を最低限に留めたものの、圧力に屈して利下げを行った。今後もこの構図が継続することは明らかだ。 来年の大統領選まで、大統領の要請に応え続けるためにFRBが利下げの理由を探すとすれば、それは本末転倒であり、後々振り返ったとき、今回の利下げは中立性を重んじるFRBの歴史に汚点を残すことになるだろう。