[東京 28日 ロイター] -
<バークレイズ証券チーフ為替ストラテジスト 門田真一郎氏>
パウエルFRB議長が新たな要素として提示したのは、1)堅調な労働市場はインフレを引き起こすことなく持続させることが可能、2)長期的なインフレ目標達成には長期の期待インフレ率をつなぎ止めることが重要なため、一定期間で平均2%の達成を目指す柔軟な平均インフレ目標を導入する、だった。
平均インフレ目標の定量的な平均値算出方法は提示されなかったが、コアPCEデフレーターの過去5年平均が1.6%にとどまっていることに鑑みれば、2.5%程度のインフレを一定期間、容認する政策だと考えられる。
今回の政策変更がドル相場に与える影響は両面的だ。低金利政策の一段の長期化見通しは短期金利の重しとなって売り圧力となるが、長期的には米経済にポジティブな影響を与えるため、長期金利の上昇を通じて買い要因にもなる。
前者は市場ですでにある程度織り込まれていたため、発表後は後者が表面化する形でドル高が進んだ。最近の米経済指標の良好ぶりを考慮しても、ドルは当面サポートされやすい。テクニカル的には対円で107─108円付近が当面の上値めどとなるだろう。ただ、大統領選などの不透明要因には留意したい。
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