[上海 28日 ロイター] - 上海外国為替市場では人民元が一時、7カ月ぶり高値近辺に上昇した。週間ベースでも5週連続の上げとなる見通し。米連邦準備理事会(FRB)は27日、国内雇用を底上げし、物価上昇率が目標を一時的に超えることを容認する新たな政策指針を発表した。
FRBは、新型コロナウイルスの影響で世界的に雇用と物価の下方リスクが高まる中、米国の完全雇用を復活させ、物価を健全な水準に戻すための新戦略を発表。インフレ率が「一時的に」2%を上回ることを容認し、長期的に平均2%の目標達成を目指すほか、最大雇用の確保を図る。
これを受けて、ドルは主要通貨に対して上昇した。
ただ、ドル相場の見通しは軟調で、人民元相場の安定や上昇が見込まれるとCICCのアナリストは指摘する。
中国人民銀行(中央銀行)はこの日の基準値を1ドル=6.8891元と、前日基準値(6.8903元)より元高に設定した。
国内市場の元は、6.8855元で取引を開始。一時6.8759元まで上昇し、前日付けた7カ月ぶり高値の6.8744元に迫った。中盤時点では、6.8778元と、前日終値比168ポイントの元高。
中盤の水準でこの日の取引を終了すれば、週間では0.55%高となり、5週連続の上げとなる。
東北証券のアナリストは、米国との第1段通商合意に基づき中国が米国製品の輸入を拡大するなか、人民元高は中国にとってはプラスだと指摘する。
ライトハイザー米通商代表部(USTR)代表とムニューシン米財務長官は今週に入り、中国の劉鶴副首相と電話会談し、米中通商合意の第1段階を履行する決意を再確認した。
東北証券のアナリストは、人民元相場は中国の景気回復にも支えられていると指摘した。
中国の7月の工業部門企業利益は、前年同月比19.6%増の5895億元(855億8000万ドル)と、3カ月連続の増益となった。増益率は2018年6月以降で最高。
オフショア人民元は6.8722元で取引されている。
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