[ロンドン 18日 ロイター] - 英国立統計局(ONS)が発表した10月の消費者物価指数(CPI)上昇率は前年比0.7%と、ロイターがまとめた市場予想の0.6%をやや上回った。
衣料品・靴と食品の価格が値上がりした。同国では、多くの地域で新型コロナウイルス対策の行動制限が強化されている。
9月は0.5%上昇だった。
昨年とは異なり、10月の食品価格は上昇。ジャガイモや果物を買いだめする動きが見られた。
同国では10月にスコットランド、ウェールズ、北アイルランドで行動制限が強化され、一部の消費者調査によると、買いだめが再び増えた。イングランドは10月末に1カ月間のロックダウン(都市封鎖)が発表され、11月5日に導入された。
感染抑制に向けた行動制限を反映し、旅行のパッケージツアーや映画館の料金が下落。余暇・文化活動部門が10月のインフレに最も大きな重しとなった。一方、コンピューターゲーム価格は上昇した。
また、エネルギー価格に上限が設定されたこともインフレの重しとなった。
ONSの幹部は「インフレ率がやや加速した背景には、衣料品価格の上昇がある。今年は混乱していたが、通常の季節パターンに戻った」と述べた。
キャピタル・エコノミクスのエコノミスト、ポール・デール氏は、「新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)に起因する要素があった。経済が弱いため、インフレ率が一定期間、目標の2%を持続的に上回るとはみていない」との見方を示した。ただ、EU離脱後の移行期間終了までに欧州連合(EU)と通商交渉合意が得られない場合はその限りではないとし、その場合はポンド安によりインフレ率が3─4%に押し上げられるケースもあるとした。
またエコノミストの中には、減税措置が来年には終了する可能性があることから、インフレ率のさらなる上昇を見込む向きもある。
JPモルガンのエコノミスト、アラン・モンクス氏は「予想を上回る10月の地合いが継続すれば、来春までにCPIが2%近くまで上昇する可能性がある」と指摘。ただ、景気の回復は本格的なものではないとみられ、基調インフレは弱い、とした。
ONSによると、9月の住宅価格は前年比4.7%上昇。約3年ぶりの大幅な上昇率となった。住宅価格平均値は24万5000ポンド、ロンドンでは49万6000ポンドと、ともに過去最高を更新した。
*内容を追加しました。
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