[上海 21日 ロイター] - 上海外国為替市場の人民元相場は対ドルで1週間ぶり安値に下落。英国と欧州連合(EU)の通商協議を巡る不透明感や、一部の国で新型コロナウイルス感染拡大抑制に向けた制限が強化されたことを背景に、比較的安全とみられるドルが買われた。
英国で感染力が強いとみられる変異種の新型コロナウイルスが広がり、複数の欧州諸国が渡航制限に乗り出したことを受けてドルはポンドに対し上昇。トレーダーによると、人民元相場はこうしたドル高を背景に圧迫されている。
中国人民銀行(中央銀行)は人民元の対ドル基準値(中間値)を1ドル=6.5507元に設定。前営業日基準値(6.5315元)より192ポイント(0.29%)元安で、過去2週間余りで最も元安の水準となった。
国内スポット市場の元は1ドル=6.5470元で始まり、一時12月15日以来の元安となる6.5519元を付けた。中盤のレートは前営業日終値比121ポイント安の6.5506元。
ある中国系銀行のトレーダーは、中央経済工作会議で為替は主要な議題ではなかったものの、市場は政策スタンスが変化するかどうか注視するだろうと指摘した。
新華社は18日、同会議の結果を踏まえ、中国は来年の経済成長を妥当な範囲に保つため、景気回復を支える政策を維持し、突然の政策転換を回避すると報じた。
みずほ銀行(香港)のアジアFXストラテジスト、ケン・チャン氏は「指導部はマクロ政策の継続性、安定性、持続可能性を保ち、政策をUターンさせない方針を表明した。これにより、コロナに伴う不透明感の中での時期尚早の刺激策引き揚げを巡る懸念は和らぐだろう」と述べた。
人民銀行が21日、銀行の貸出金利の指標となる最優遇貸出金利(ローンプライムレート、LPR)を8カ月連続で据え置いたことへの市場の反応は限定的。ただ、経済のファンダメンタルズ(基礎的条件)が改善する中、来年の金利引き上げを予想する見方も出ている。
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