[上海 5日 ロイター] - 上海外国為替市場の人民元相場は急伸後に下げに転じる不安定な展開となった。前日に続き序盤に大幅上昇したのを受けて高値警戒感が強まり、利益を確定する動きが広がった。
元は前日に対ドルで1%上昇。今年通年の緩やかな上昇を予想していた市場関係者は意表を突かれた格好となった。
中国人民銀行(中央銀行)は人民元の対ドル基準値を1ドル=6.4760元に設定。前日基準値と比べて648ポイント(1%)の元高と、2005年の元切り上げ以降で最も大幅な引き上げとなり、約2年半ぶりの元高水準だった。
スポットの人民元は1ドル=6.4601元で始まり、一時は2018年6月15日以来の高値となる6.4292元を付けた。
オフショア市場の元は0.6%余り上昇し、6.42元の節目を突破して18年6月半ば以来の高値となる6.4127元まで上昇した。
みずほ銀行の首席アジア外為ストラテジスト、ケン・チュン氏は「人民銀が新年に入って6.50元を超えた人民元の上昇を黙認したため、元買いが加速した」と指摘。
ニューヨーク証券取引所が中国の通信3社の上場廃止手続きを進める意向はもはやないと表明したことも元相場を支えたとした。
ただ、スポットの人民元は中盤までに下げに転じ、6.4622元となった。オフショア市場の元は上げ幅を縮小し、6.443元。
外資系銀行のトレーダーは元の大幅上昇で警戒感が強まり、利益確定につながったと分析。ただ、国有銀行や人民銀が元高に抵抗していないため、再び上昇するだろうとした。
中国の銀行トレーダーは「人民銀は明らかに元高継続を受け入れている」と述べた。
チュン氏は今年の取引初日から2日間の乱高下とは対照的に、2021年は元の「緩やかな上昇」を見込むと述べた。
中国経済の力強い成長と元建て資産の上乗せ金利を背景に6.3元の水準まで上昇する可能性はあるが、新型コロナウイルスワクチン普及で世界経済全体が回復すれば中国の金利上乗せ幅が縮小し、元の勢いが削がれるかもしれないとした。
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