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アングル:FRBの「さじ加減」が握る米長期金利、ドルに先安観

[東京 7日 ロイター] - 米国の長期金利は予想外のスピードで1%台まで上昇したが、今後一段高となるかは米連邦準備理事会(FRB)のさじ加減に拠るところが大きい。外為市場では、これまで米長期金利と「正の高相関」を見せていたドル/円の反応が鈍っているが、この背景には欧米の実質金利格差があるとの見方がでている。

 1月7日 米国の長期金利は予想外のスピードで1%台まで上昇したが、今後一段高となるかは米連邦準備理事会(FRB)のさじ加減に拠るところが大きい。写真は100ドル紙幣。2011年8月、東京で撮影(2021年 ロイター/Yuriko Nakao)

<リスク資産に動揺なければ米長期金利は1%台定着へ>

米国債市場では6日、ジョージア州の決選投票で、上院でも民主党が多数派を確保する見通しになったことを受け、景気刺激策拡大の期待とFRBが予想より早く資産買い入れを縮小するとの思惑が広がり、米長期金利が大幅に上昇した。

リフィニティブによると、米10年国債利回りは6日に1.0540%まで上昇し、昨年3月以来の高水準に突入した。

SMBC日興証券のチーフ為替・外債ストラテジスト、野地慎氏は「足元の長期金利水準でリスク資産市場に動揺が見られないのであれば、FRBもあえて債券買入政策を強化する必要がなく、米10年債利回りの1%台はスタンダードとなっていくだろう」と予測する。

同利回りがこのまま1.25%、1.50%のレベルまで上昇するかは株式市場の動向次第だと同氏はみている。

米長期債利回り予想の前提には「管理相場化」した市場がある。

米国では2020年度の国債のネット発行額が前年度比で3兆ドル増となるような大増発に対して、FRBが未曽有の巨額米国債買い入れで対峙する構図となっており、金利の急低下や急騰はそもそも起こりにくい。

そうした中で「FRBはマクロ動向、インフレ期待、そして資産バブルリスクなどを考慮に入れながら、柔軟に債券買入政策を行っており、株高ならある程度の長期金利上昇を容認せざるを得ない」と野地氏は言う。

一方、バリュエーションが割高と見なされてきたナスダック総合指数が6日に下落した点に鑑みれば、よほどの増益期待がない限りは長期金利のさらなる上昇は株式市場に悪影響を及ぼしやすい。足元のコロナ感染拡大などを考えれば、米企業の増益期待にも限りがある。

野地氏は「一段の長期金利上昇が株価下落を招き、株価下落が長期金利の自律的な低下を促すシナリオを想定し得る。米10年債利回りが1.10%を超えて上昇する局面では、こうしたシナリオが現実味を帯びる」と見ている。

たとえ、自律的な長期金利低下が生じなかったとしても、FRBは過去10年余りの金融緩和局面において、株価下落の際には債券買い入れを増やし、長期金利の低下を促す微調整を行っており、今回も同様の対応が予想される。

<欧米実質金利格差とドル安>

外為市場では、これまで米長期金利上昇と高い相関関係を保ってきたドル/円相場の上昇が鈍っている。これはユーロに根強い先高観とドルに根強い先安観があるためだ。

市場では「欧州と米国の実質金利の方向性の格差が、ユーロ買いを招いている」(エコノミスト)との指摘も聞かれる。

欧州中央銀行(ECB)は12月10日、新型コロナウイルスの感染第2波に対応しユーロ圏経済を支援するため、量的緩和(QE)を拡大・延長した。

しかし、QE拡大にインフレ率の押し上げ効果がないことは、日本で実証済みだ。また、金融セクターへの悪影響を懸念するECBはマイナス金利の深掘りには後ろ向きだ。

結果的に、オーバーナイトの政策金利からインフレ率を差し引いたユーロ圏の実質金利はマイナス圏からプラス圏に浮上する芽が生じている。一方米国では、実質金利が一段と深くマイナス圏に沈む傾向が現れている。

三菱UFJリサーチ&コンサルティング、主席研究員の廉了氏は「主要国に浸透したゼロ金利環境で、マイナス金利の深堀りにしろ、限界的な政策金利の引き下げにしろ、中央銀行が物価をコントロールできた試しはない」という。

その上で、「最近のユーロ高/ドル安については、米国は多少なりとも将来的に金利の下げ余地があることが相場に反映されている可能性がある」と指摘している。

森佳子 編集:石田仁志

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