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アングル:野口氏の審議委員起用、緩和強化の声強まるか 政井氏後任も鍵

[東京 29日 ロイター] - 日銀の政策委員会メンバーに入る見通しとなった野口旭専修大教授が、最初の金融政策決定会合でどのような意思表示をするのか注目されている。一段の緩和強化が必要と主張する片岡剛士審議委員に同調する形で政策の現状維持に反対するか、安達誠司審議委員のように現在の政策を前提に行動するか。6月に任期を終える政井貴子審議委員の後任と絡んで、日銀内の政策決定バランスの変化を市場は見極めようとしている。

 1月29日、日銀の政策委員会メンバーに入る見通しとなった野口旭専修大教授が、最初の金融政策決定会合でどのような意思表示をするのか注目されている。写真は都内で2016年3月撮影(2021年 ロイター/Yuya Shino)

<リフレ派でも違う行動>

野口氏は3月末に退任する桜井真審議委員の後任となる。菅義偉政権が初めて提示する日銀の国会同意人事として注目されていたが、積極的な金融緩和を重視する、いわゆる「リフレ派」の野口氏が任命されたことで、菅政権も基本的に安倍晋三政権のスタンスを継承しているとの受け止めが広がった。

日銀の最高意思決定機関と位置づけられる政策委員会は、正副総裁3人、審議委員6人の計9人で構成される。現在、若田部昌澄副総裁、片岡審議委員、安達誠司審議委員がリフレ派とみなされ、野口氏の加入でリフレ派が4人になったとの指摘があるが、現在の3人は必ずしも行動を同じくしていない。

片岡氏は現行の緩和策は不十分として執行部の政策に反対票を投じてきたが、若田部副総裁は総裁を補佐する立場で、政策に反対票を投じたことはない。昨年3月、新型コロナウイルス感染症の影響で市場が不安定化していた中で就いた安達審議委員は、就任会見で「景気浮揚より、コロナ感染症拡大の下で持ちこたえることを助ける政策を採るべき」と述べ、以来、政策に賛成票を投じている。

市場では「リフレ派の中にも様々な人がいる。退任する桜井氏も初めはリフレ派と目されたが、徐々に中立に変わってきた。実際に経済の現実をみながらそれぞれ判断していくと思うので、金融政策の方向が大きく変わることがないのではないか」(国内証券)との見方が出ている。

日銀は、コロナ禍の影響が経済・経済の下押し圧力となり、大規模な金融緩和がさらに長期化する見通しになったとして、3月に向けて政策の点検作業を進めている。黒田東彦総裁も27日、出席した参院予算委員会で「現時点で出口を議論するのは時期尚早」と述べており、直ちに緩和策を止めたり、金融引き締めに向かったりすることは考えづらい。

<現状維持反対派が増えるか>

しかしながら、日銀に詳しい専門家からは、野口氏の投票行動によっては「さざ波」が立つ可能性もあるとの指摘が出ている。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券のシニア・マーケットエコノミスト、六車治美氏は「急に政策の方向性が変わることはなさそうだ」としつつ、「野口氏が片岡氏のように最初から、もっと緩和すべき、という方向に行くのか、安達氏のように現状維持を前提にしながら議論に臨んでいくのか、どちらのスタイルになるかは分からない。仮に、反対が2人になった場合はインパクトはあるだろう」と話す。

外為市場での円高進行や、コロナの影響で日本経済が2番底、3番底となった時、新たに具体的な緩和提案や議論が出てくるのかも注目される。現行政策についての所見やコロナ対応で今後追加緩和が必要となるかどうか。野口氏本人は「現状で、私の立場ではお答えできない」と述べている。

<6月に向けた人選にも関心>

今年6月末には政井貴子審議委員の任期も終了する予定。前出の六車氏は「現時点では片岡氏だけ反対しているが、野口氏が片岡氏に同調して反対票を投じれば、賛成7、反対2という構図になる。さらに一段と強力な金融緩和を唱える人が政井氏の後任になり、6対3になる可能性もゼロではない。ここに至れば市場もさらなる利下げを意識する形になる」と指摘する。

政井氏の後任人事については「安倍政権後半、続く菅政権は、今の状況を無視して物価を早く達成しなければいけないというスタンスになっていない。時期尚早で分からないが、それほど無理な人選にはならないのではないか」(JPモルガン証券のチーフエコノミスト、鵜飼博史氏)との声も聞かれる。

杉山健太郎 編集:石田仁志

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