[東京 29日 ロイター] -
<三菱UFJモルガンスタンレー証券 チーフ投資ストラテジスト 藤戸則弘氏>
米国株式市場の直近の乱高下は、ひと言でいうとゲームストップショックとなる訳だが、こうしたバブルの色彩が強い事象がクローズアップされるたびに、投資家は高値警戒感が生じる株価水準に対して冷静さを取り戻し、その結果、利益確定売りを急ぐ波乱場面が今後も起きるとみられる。
ゲームストップをはじめ注目された一連の急騰株は、米国市場ではニッチな銘柄。それらの動きを米当局が注視している。日本で例えると、黒田日銀総裁が連日マザーズ市場の個別株をウォッチしているようなもので、異常と言える状況だ。空売りの多い銘柄をオンライン掲示板の情報から買いが集中したマネーゲームであり、これらは「デジタルモブ相場」と称することができよう。それに翻弄された格好で米株は乱高下し、日本株にも影響が波及した。
世界的な超緩和策によって生じた過剰流動性による弊害と言えるが、依然としてコロナ禍で世界経済が痛んでいる状況下で、「デジタルモブ相場」を理由に金融政策や財政政策が変更することは考えにくい。基本的な上昇トレンドに変化はないとみている。
ただ、こうしたバブル下で起きる現象が今後も続けば、その都度、株式市場に対して警戒感を生じさせるだろう。好調な企業業績が日米ともに目立つため、現在がバブルとは言い切れないものの、ゲームストップの急騰がバブルを意識させるきっかけになり、株式市場で不安定であると投資家に感じさせたことは確かだ。
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