for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up

アングル:緊急事態延長、追加策は予備費の範囲 与党内に異論も

[東京 3日 ロイター] - 10都府県を対象とする緊急事態宣言の1カ月延長で、日本経済に一段と下押し圧力がかかると予想されるが、政府は追加の経済対策を既に決まっている予備費で賄う方針だ。一方、与党内には、新型コロナ対策は不十分との世論に押される形で、追加の補正予算の議論を求める声も一部で出ている。

 2月3日、10都府県を対象とする緊急事態宣言の1カ月延長で、日本経済に一段と下押し圧力がかかると予想されるが、政府は追加の経済対策を既に決まっている予備費で賄う方針だ。写真は東京都で2日、撮影(2021年 ロイター/Kim Kyung-Hoon)

<予備費は計8兆円超>

菅義偉首相は2日、緊急事態宣言の延長に伴う記者会見で「緊急小口資金などの限度額を140万円から200万円に拡大する」など追加対策を打ち出した。「大企業にいる非正規社員について、休業手当が支払われず、雇用調整助成金が活用されない問題も検討を進めており、早急に対応する」とし、今後の対策拡充に前向きな姿勢を示した。

しかし政府は、現時点の対コロナ経済対策は「予備費の範囲で支出する方針」(閣僚周辺)という。予備費は2021年度予算案で約5兆円計上されているほか、20年度分は1月15日時点、3兆8000億円強が残っている。

緊急事態宣言が1カ月延長されたことで、日本経済のさらなる下振れは必至だ。だが、 民間エコノミストの間でも「今回の延長に伴う追加的な経済損失は約1.2兆円、2月7日までの損失と合わせて、経済への直接的な打撃は2カ月で2.4兆円。2.4兆円の対策ならば予備費の範囲で対応可能」(みずほ証券の小林俊介チーフエコノミスト)との試算がある。

<メッセージが課題>

これに対し、与党内では追加の財政出動を求める声が一定数ある。20年度3次補正予算は、コロナ第3波が本格化する直前に編成されたため、デジタル化や環境関連投資の比重が高い。今は停止中の観光刺激策GоToトラベル延期も盛り込まれており、コロナ対策としては不十分とみられている。

緊急事態宣言が出された後の1月18日に自民党で開かれた有志による「経済成長戦略本部」の会合では、山本幸三衆院議員が「20─30兆円の追加の財政出動が不可欠で、(20年度)4次補正でも(21年度)1次補正でも構わない」と提唱していた。

ある自民党中堅幹部は「3次補正予算の編成・審議過程で野党と握り、コロナ対策重視に組み替える手段もあった」(副大臣経験者)と振り返る。

ただ、現時点の自民党内では4日から国会で審議される21年度本予算が成立する前にさらなる補正予算の議論をするのがいかがか、との意見が多い。上記会合に出席した安藤裕衆院議院は「本予算が通過(成立)した後は4月。その時にコロナ対策として追加補正を議論するのはメッセージの打ち出し方として弱い」と懸念する。

菅政権の内閣支持率はコロナ対策が不十分との見方から昨年末に急落。直近の報道各社の調査では不支持率が支持率を上回っている。自民党議員3人が緊急事態宣言下、銀座で会食した責任を取り離党するなど、今秋までに衆院選を控える与党議員には不安要因となっている。

元TBS解説委員の龍崎孝・流通経済大学教授は「国民の政治不信が広がっている」と指摘し、追加コロナ対策に関して「予備費の範囲で賄えるのかもしれないが、追加補正も辞さずとの姿勢を見せることが政権として必要」と話している。

竹本能文 編集:石田仁志

for-phone-onlyfor-tablet-portrait-upfor-tablet-landscape-upfor-desktop-upfor-wide-desktop-up