[東京 10日 ロイター] - 日銀の中村豊明審議委員は10日午後、高知県金融経済懇談会後に会見し、日銀による上場投資信託(ETF)買い入れについて「ワールドワイドに経済のリセッションが起き、リスクプレミアムが過度に動いてしまうというときには是正しておかなければならない」と指摘した。ETF買い入れを通じ、デフレにならないようにする必要があると強調した。
中村委員は、欧米と異なり、日本は人々のデフレマインドが強いと指摘。日本は「経済の実態と合わないリスクプレミアムの拡大が起こりやすいので、欧米と違って株式市場のリスクプレミアムに直接働きかけることをしないと振れ幅が大きくなる」と述べ、ETF買い入れの必要性を強調した。
中村委員は同日午前のあいさつで、政策点検に関連して「経済・物価・金融情勢の変化に対して、タイムリーかつ効果的に対応できるよう準備しておくことが重要だ」と指摘した。会見で中村委員は、東京の主要株価指数が歴史的な高値圏にあるいまの局面でのETF買い入れは「タイムリーではない」と述べた。
一方、「日銀が株価を支えているとの認識はない」とし、企業の収益力強化への評価が株高の一因になっているとの認識を示した。
経済下押し時のマイナス金利の深掘りの可能性については、「政策点検の中で検討しなければならないと思うが、まだ(具体的な対応は)申し上げる段階に至っていない」と述べた。
*内容を追加しました。
和田崇彦
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