[東京 19日 ロイター] -
<JPモルガン証券 チーフエコノミスト 鵜飼博史氏>
点検の内容は事前の観測報道通りで、日銀の結論は「今の緩和は非常に効果がある。だが、2%の物価目標達成は短期間では難しいため、粘り強く今の政策を続けていくことが適切だ」ということ。長く政策を運営するためには副作用を減らす必要があり、そうした体制を整えておくというロジックが点検の背景にあるのではないか。
ただ、点検よって何かが大きく変わるのではなく、大きな政策の枠組みではなく、もともと狭い範囲での対応になると市場も考えていた。機動的に長短金利を引き下げるため短期政策金利に連動する「貸出促進付不利制度」を創設したが、金融機関への恩恵がどこまであるかは不透明。今回の点検でどのような影響や効果が出てくるかは、黒田東彦日銀総裁の会見での発言を見極めたい。
2%の物価目標達成については、相当時間をかけていくことになると考えられる。絶対に達成できないわけではないが、あと何年で達成できるというのを見通せる状況ではない。将来的に2%の目標をなくす必要はないと思うが、いずれ「長期的な目標に位置付けを変更する」といった議論がなされる可能性はあるだろう。
また、当面は現状の政策を維持していくと思われるが、そもそもの日本の課題である潜在成長率の上昇に向けて金融政策でサポートするということなど、政策の枠組み以外でも工夫する余地があるだろう。
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