[東京 22日 ロイター] -
<ピクテ投信投資顧問 シニアフェロー 市川眞一氏>
きょうの下げは、日銀点検に伴う混乱の継続、米SLR規制緩和終了に加え、ルネサスエレクトロニクスの工場火災など悪材料が重なったことが背景にあるが、根本の部分は米国の長期金利上昇にあり、しばらく日柄調整が続くとみている。
米バイデン政権によって1兆9000億ドルの経済対策が決定されたが、これにはトランプ前大統領の存在が大きいと思う。ここで雇用が悪化した場合、トランプ時代を懐かしむムードにならないとも限らず、バイデン大統領としてはそれは避けたい。一方、このままの状態が続けば、将来のバブル崩壊による痛みが懸念されるため、長期金利の上昇を容認することで資産バブルを抑制する動きが見え隠れする。
そうなると、米国株式市場をリードしてきた大型IT株など割高に買われてきた銘柄は苦しい。成長株で株価上昇を描くシナリオが崩れることになる。日本株はこれまで米国株式市場に追随した動きとなっており、同様にこのシナリオが描けず、先行き米株がもたつくとすれば、上値を追うのが難しくなるだろう。
さらに、ルネサスの工場火災も株価調整の要因になりそうだ。半導体がファンダメンタルズの鍵を握っている状態の中で、供給不足を加速させることになり、これは明らかに株価にマイナス材料になる。
もっとも、これまで株価上昇の要因になっていた金余り状態にも変化はない。従って目先的に大きく崩れることもないだろう。今回の調整は値幅ではなく日柄がポイントになり、当面は、もみあう展開になるとみている。
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