[上海 29日 ロイター] - 上海外国為替市場の人民元相場は下落。米国で新型コロナウイルスワクチン普及が加速していることから、米景気回復への期待が高まり、ドルを支援している。
米国ではワクチン接種者が9400万人に達し、普及ペースは欧州をはるかに上回っている。
ドルの堅調を受けて、中国人民銀行は取引開始前に人民元の対ドル基準値(中間値)を3カ月ぶりの元安水準となる1ドル=6.5416元に設定。前営業日(6.5376元)よりも40ポイント元安の水準だった。
スポット市場の元相場は6.5415元で始まり、中盤時点では前営業日終値比23ポイント安の6.5441元。
OCBC銀行(シンガポール)の大中華圏調査担当責任者、トミー・シエ氏はリポートで、主要通貨に対する貿易加重ベースの人民元指数は引き続き97近辺で地固めしており、ドル/元はドルの全体的な動きを反映して推移していると指摘。この傾向は当面続くと予想した。
公式データによると、26日時点の人民元指数は97.15で、年初からは2.4%高。スポット市場の元の対ドル相場は年初から0.24%下げている。
多くのアナリストと市場関係者は元の相場予想を下方修正したと明らかにしている。米長期金利がドルを支援する方向で動く一方、中国経済は鈍化が見込まれているからだ。
キャピタル・エコノミクスのシニア中国担当エコノミスト、ジュリアン・エバンスプリチャード氏は「中国経済は現在、トレンドを上回っており、刺激策が引き揚げられるのに伴い循環的に鈍化する局面に入るだろう。コンセンサス予想にそれは反映されていない」と指摘。
その上で、元相場が年末までに6.70元、2022年末までに6.90元に軟化すると予想した。従来は両年とも6.20元を予想していた。
一方、指数算出会社FTSEラッセルが今週、世界国債インデックス(WGBI)への中国国債組み入れを決定するかどうかも注目されている。
HSBCの国債調査部門は組み入れ比率が6%と前提すると、組み入れ手続き中に1500億ドルの資金が流入すると見込む。
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