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〔アングル〕アジア系ビジネスに偏るコロナの打撃、ヘイト追い打ち

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[14日 ロイター] - ジャンイー・ロウ氏が家族とともに経営するラスベガスのレストランは昨年、2カ月の臨時休業を経て営業を再開した。ただし営業時間を短縮し、フロアのかなりの部分はデリバリー業務用の拠点として改装した。

灼熱の気候ゆえ、屋外に飲食スペースを設ける選択肢はなかった。集客を助けてくれる各種の会議も、新型コロナウイルスのために中止されてしまった。

「適応しなければ取り残されてしまう」とロウ氏は語る。家族が15年以上にわたって維持してきた「サタイ・タイ・ビストロ&バー」だが、業態を修正したにもかかわらず、2020年の売上は前年に比べてほぼ半減となった。

アジア系米国人のビジネスにとって、新型コロナはさまざまな面で打撃となった。

パンデミックに関連する休業や屋内での集会の制限は、レストランや店舗、ネイルサロンなど、アジア系企業が集中するサービス産業にとって特に辛いものとなった。

言葉の壁や、銀行との取引が乏しいために、一部の企業オーナーにとっては政府による支援を利用することも難しかった。しかも彼らは、新型コロナはアジア系のせいだとする人種差別的な主張に関連したヘイトクライム(憎悪犯罪)による新たな恐怖にも悩まされている。

ニューヨーク連邦準備銀行と全米退職者協会(AARP)は先月、中小企業オーナーの80%を占める高齢の経営者にフォーカスした報告書を発表した。それによれば、アジア系米国人が保有する中小企業の業績は、黒人系及びヒスパニック系米国人が保有する企業よりも低迷していることが分かった。パンデミック前の経営状況は、アジア系米国人の企業の方が上回っていたのにもかかわらずだ。

<財務面での大きな打撃>

ニューヨーク連銀の調査によれば、収益性、クレジットスコア、事業資金の調達に基づくレーティングにより財務が「逼迫している」とされる企業は、2019年の時点では、アジア系米国人が保有する企業のうち約9%で、黒人系の19%、ヒスパニック系の16%に比べて大幅に低かった。白人系米国人の保有する企業では6%だった。

だが今回の危機において、アジア系米国人が保有する企業は、早い時期から急激な下降線をたどった。JPモルガン・チェース研究所の調査によれば、3月末の時点でアジア系米国人の企業の売上高は前年比で60%以上減少しており、他の中小企業における約50%よりも減少幅が大きくなっている。

ニューヨーク連銀の調査において、昨年、アジア系米国人が保有する中小企業のうち減収となった企業は約90%。黒人系の85%、ヒスパニック系の81%、白人系の77%を上回る。

フィラデルフィアで34年にわたり家族で経営してきたドライクリーニング企業、ボビー・ショア・クリーナーズのオーナーであるマイケル・パーク氏は、パンデミック初期には1日の売上が約100ドル(約1万0900円)しかない時もあったという。これは通常の10分の1以下だ。人々が外出に前向きになった夏季にやや好転したものの、それでも売上はパンデミック前の約25%に留まっている、とパーク氏は言う。

パーク氏は、支援金や中小企業向け融資を利用して基本的な出費を賄っており、「会社を維持していくだけで精一杯だ」と話す。

<支援の申請を阻む壁>

シアトルのチャイナタウン地区で住宅・開発・中小企業関連の支援を行う地域開発団体で働くジェイミー・リー氏によれば、担当している企業オーナーの多くは、顧客に対応するための英語には不自由しないものの、給与保護プログラム(PPP)や政府による支援を利用するための複雑な書類に記入するのには頭を悩ませているという。

カリフォルニア大学サンタクルーズ校のロバート・フェアリー氏、ネバダ大学のフランク・フォッセン氏が1月に発表した調査結果を見ると、昨年春に実施されたPPP融資の初回分は、マイノリティーが保有する企業にはほとんど回っていない。両研究者によれば、その後制度の調整が行われ、小規模な地域ベースの金融機関が参加できるようになったため、マイノリティーが保有する企業に対する支援も拡大したという。

ネバダのタイ料理店のマネージング・パートナーであるロウ氏は、PPP融資の申請は、パンデミック初期の数カ月間にトイレットペーパーを探して駆けずり回ったのと同じくらい大変だったという。ロウ氏は結局、家族経営のこのレストランがふだん取引をしていた大手銀行ではなく、快く申請を受け付けてくれる小さな金融機関を見つけた。

ワシントン州のテイチ・メルサイ氏は、シアトルで「リトル・サイゴン」と呼ばれる地域にあるラムズ・シーフード・マーケットで事業運営マネジャーを務めている。ベトナム系米国人が保有する食料品店だ。メルサイ氏は、彼自身を含む家族経営の商店主たちは、支援金の申請やその他のリソースを利用するうえで、隣近所のグループが手助けしてくれたことに感謝していると話す。

「コミュニティーが結束した」とメルサイ氏は言う。

またメルサイ氏は、顧客が食料品をオンラインで注文できるよう、デリバリーサービスにも登録した。完全に準備を整えるには6カ月ほどを要した。どのプラットフォームが良いか調べなければならなかったし、ドリンク類や麺類、スナック類など彼らの店で扱っている何千ものアジア系食品の場合、外部のウェブサイトが提供している資料画像には収録されていなかったため、自分たちで写真を撮影しなければならなかったからだ。

オンラインに移行し、外出等の制限が緩和されていけば、売上高も回復するはずだ、とメルサイ氏は言う。

だが数週間前、皆を不安に陥れる事件が起きた。アジア系米国人の店員が仕事を終えて帰宅する途中、殴りかかられたのだ。顔を殴られたものの深刻な怪我には至らず、またヘイトクライムであるかどうかは分からない。だが、同僚たちは用心深くなっている。

「基本的にすべての従業員に、できるだけペアで移動するよう指示している」とメルサイ氏は言う。

(Jonnelle Marte記者)

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