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円安加速、一時2018年12月以来の水準に:識者はこうみる

[東京 12日 ロイター] - 12日の東京外為市場では、原油価格上昇などを背景にドル買い/円売りが加速。一時1ドル=113円49銭と2018年12月以来の高値を付けた。市場関係者のコメントは以下の通り

10月12日、の東京外為市場では、原油価格上昇などを背景にドル買い/円売りが加速。写真は米ドルと円紙幣のイメージ。2017年6月撮影(2021年 ロイター/Thomas White)

<三菱UFJ銀行 チーフアナリスト 内田稔氏>

春先と同様の現象だが、市場ではインフレがテーマになっている。世界的にインフレ期待が高まっており、日本の名目金利からインフレ期待を差し引いた予想実質金利が大きく低下した。

インフレ期待が6月の水準を超えて上昇してきており、その背景にあるのがコモディティー価格の上昇だ。ハリケーンの影響から米WTI原油先物の価格が上昇したほか、中国の電力不足問題など世界的にエネルギーの需給が逼迫するのではないかという思惑が浮上。また、冬場に向けて需要が高まる時期にロシアからの供給が細るとの思惑から、欧州の天然ガスの先物相場が急上昇した。  

インフレ期待が高まり、予想実質金利が動くことは、円相場を大きく動かす要因となる。今後1カ月近くは円安傾向が続く可能性がある。今年の年末時点の購買力平価が100円。異次元緩和による円安や米利上げ観測によるドル高となった2013年や14年の年末時点の購買力平価との乖離幅は16%を記録している。それを踏まえると、ドル円は瞬間風速的に116円近辺まで達する可能性がある。ただ、インフレ期待やコモディティー価格の上昇が続いていることが前提となってくるので、その動きを引き続き注視する展開となりそうだ。

<SMBC日興証券 チーフ外債・為替ストラテジスト 野地慎氏>

11日の原油高に寄与したのはインドにおける石炭不足のニュースだったが、そのインドのルピーINR=は今年4月につけた対ドル最安値をうかがっている。圏内で石油製品の自給率が低いユーロEUR=も軟調さが続いており、ドル/円に限らず「資源を持たない国」の通貨が売られる展開となっている。

ICEドルインデックスとWTI原油先物価格を並べた場合、ドル高と原油高が明確にシンクロしたのは2018年10月。その2カ月後には米連邦準備理事会(FRB)はインフレに対応した利上げを行ったが、その直後に米国株は大暴落の憂き目をみた。

中国が17年10月の共産党大会を経て構造改革路線に回帰する中、「原油高+ドル高」が欧州、日本、中国、インドなどの景気を圧迫し、引き締め措置でマーケットが一気にクラッシュした。

中国の減速という点までよく似た、むしろ当時以上に減速感があるとも言える2021年末は、18年と同様のクラッシュが生じる可能性が日に日に高まっていると言わざるを得ない。

18年当時と違うのは「脱カーボンの潮流の中、石油輸出国機構(OPEC)やシェール業界が生産能力拡大に及び腰であり、容易に原油の供給が増えそうにない点」であり、むしろ原油高局面の長期化を介して各国経済のダメージを深くする可能性がある。

いずれにせよ、今後のマーケットのメインテーマは「ドル高と原油高」とそれに伴う景気減速圧力ということになりそうだ。まさに、市場は原油高リスクオフとなっている。

<ソニーフィナンシャルG アナリスト 森本淳太郎氏>

市場の注目テーマは、米国のテーパリング(量的緩和の段階的縮小)からインフレに移りつつある。これまでは「インフレは一時的」との見方が優勢だったが、米国ではインフレ高進リスクが高まっており、利上げも視野に入ってくる。

一方、日本はインフレが進まず、長く金融緩和を続けられる状況が整っている。日本だけが特殊で現時点では金融緩和縮小の必要性がないため、日本円の単独安につながっているのではないか。目先は対ドルに限らず全体的に円安基調が続くとみている。

これまで何カ月間も、ドルと円の力関係が拮抗しドル高が進んでも円買いが入りレンジ相場だったドル/円も、上方向に方向感が出てきた。

目先の上値めどとみられている113円後半ではドル買いはいったん落ち着く可能性はあるが、今は買いの勢いが加速している局面なので、しばらくはドル高の流れが続くと予想する。

ただ、中国恒大集団や米債務上限の問題などは一時的に懸念が後退しているが、再び警戒感が高まる可能性もある。また、米国のインフレが行き過ぎてしまうと早期の利上げ懸念が強まり、経済全体にとってはマイナスになる。

今後こうしたリスクが意識されると、9月後半から続いているドル高/円安の流れが急に巻き戻される可能性もあるのではないか。

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