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アングル:TSMC新工場への政府支援、成長政策具体化で市場に安心感

(1段落目を修正し、ソニーグループの参画は報道ベースであることを明確にしました)

 10月15日、台湾積体電路製造(TSMC)が日本国内に新工場を建設する計画を表明し、政府が支援の方向を示したことが、マクロの株価材料として相場上昇を促すとの見方が出てきた。写真は台湾の新竹市で1月撮影(2021年 ロイター/Ann Wang)

[東京 15日 ロイター] - 台湾積体電路製造(TSMC)が日本国内に新工場を建設する計画を表明し、政府が支援の方向を示したことが、マクロの株価材料として相場上昇を促すとの見方が出てきた。本来ならば、参画が報じらているソニーグループのほか、製造装置など半導体関連銘柄の受注期待など個別材料となるところだが、マーケットが求めていた岸田政権の「成長」政策が具体化し、政策の継続性が示された事例として注目されている。

萩生田光一経済産業相は15日の閣議後会見で、TSMCが日本に工場を建設すると表明したことを受けて、必要な予算の確保とともに、複数年度にわたる支援の枠組みを構築する考えを示した。また、小林鷹之経済安保相も会見で「一般論として、先端半導体の製造拠点の構築は1兆円規模の投資が必要になると理解している」とした上で「他国に匹敵する取り組みを進める。様々な支援内容を検討したい」と述べた。

TSMCは14日、日本に工場を建設すると発表。2022年に着工し、24年後半の稼働を目指す。日本経済新聞など日本のメディアによると、TSMCは熊本県に工場を建設。ソニーグループとデンソーが参画する方向だという。時事通信は、総事業費8000億円の半分を日本政府が補助すると報じている。

岸田首相が「成長と分配の好循環」を繰り返し強調してきたことで、ここにくるまで、市場では新政権の経済政策について警戒感を拭えないでいた。市場が嫌気した金融所得課税の見直しこそトーンダウンしたものの「好循環と言いながら、『分配』重視に政策が傾斜する印象が強かった」(国内証券)ためだ。政策の方向性に対する不安が海外要因とともに株価の重しとなっていた。

今回のTSMC新工場に関して政府が示した方針は、こうした不安を一掃させるものとなった。半導体を巡っては昨年秋以降、世界的に深刻な供給不足に陥る中で、日本政府も6月に「半導体・デジタル産業戦略」を掲げていた。SBI証券・投資調査部長の鈴木英之氏は「TSMCの誘致はこれに沿うものであり、成長を目指す政策の継続性が示された」と指摘する。

東海東京調査センター・シニアストラテジストの中村貴司氏も「工場建設を政府が支援する方向となり、岸田政権による成長に関する具体的な施策の一例として市場で認知された。これによって海外勢をはじめ、投資家の安心感を誘うことになるのではないか」との見通しを示す。

15日の日本株は、利上げ見通しの懸念が後退したことを受けた米株の上昇や、TSMCの好決算などが好感され、日経平均は2万9000円に迫る上昇となった。

もっとも、中国の恒大集団の債務問題など懸念材料は多く残っている。もう一段の上値を追うためには「総選挙における論戦で与党側から踏み込んだ経済政策に対する言及や、決算発表シーズンで好決算が続出するなどさらなる材料が必要」(東海東京調査センターの中村氏)とみる関係者が多い。

(水野文也 編集:内田慎一)

*1段落目を修正し、ソニーグループの参画は報道ベースであることを明確にしました

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