[東京 9日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)の対日審査団長を務めるラニル・サルガド氏は9日、最近の大幅な円安は日米金融政策の異なる道筋に関する市場の予想などファンダメンタルズ(基礎的条件)を反映しているとの見方を示した。
ドル/円の最近の動きは日米の金利差と強い相関があると述べた。
世界的な原材料価格の上昇も円の重しになっているとした。資源輸入国である日本はドルでの支払いが増えるためだと説明した。
円安はプラス面とマイナス面の両方があるとし、輸出業者を支援するほか、輸入価格を押し上げることで日銀の2%の物価目標の達成を促進するというプラス効果を挙げた。
一方、円安は輸入業者に打撃を与え、生活費を押し上げることで家計にも痛手になると話した。
円はこの日、1ドル=134.56円を付けて20年ぶり安値を更新した。
サルガド氏は、コモディティー(商品)価格の持続的な上昇や円安の輸入物価押し上げ効果により、日本はある程度のインフレ上昇リスクに直面していると指摘。
その上で、食品・エネルギーを除くインフレ指標が依然として日銀の目標を下回っていることから、日銀は超緩和政策で経済を支援する必要があるとの見解を示した。
「コストプッシュ要因がなくなれば、中期的なインフレ率は引き続き日銀の目標を大幅に下回る見込みだ」とし、「インフレが安定的かつ持続的に達成されるまで、日銀が金融緩和を継続することが適切だと考える」と述べた。
総務省が5月に発表した4月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除く、コアCPI)は前年同月比2.1%上昇し、日銀目標の2%を7年ぶりに上回った。
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